研究課題/領域番号 |
23531321
|
研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
谷川 弘治 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80279364)
|
研究分担者 |
野井 未加 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (70389485)
上村 眞生 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (30530050)
小野 正子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (50255957)
藤田 稔子 西南女学院大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90441865)
栗山 宣夫 育英短期大学, その他部局等, 准教授 (30389770)
谷口 明子 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80409391)
山口 悦子(中上悦子) 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60369684)
松浦 和代 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (10161928)
|
キーワード | 医療保育 / 病弱特別支援教育 / 継続研修 / 専門性の向上 / キャリアパス / 多職種参加 / 持続可能性 / 地域ネットワーク |
研究概要 |
本研究は①研修ガイドラインに基づくワークショップ(以下,WS)の実施による当該ガイドラインの検証,②施設・職能団体向けの研修コンサルテーション・スーパービジョン(以下,CS)の実施による,CSの方法の探索という2つの柱で構成されている. 本年度は,①に関して4地域8回のワークショップを開催し,2010年度からの3年間で21回の経験を蓄積することができた.この経験を整理,検討して当初の研修ガイドラインを再構成し,『多職種合同ワークショップ実施ガイドライン』として研究代表者のホームページに掲載,さらに冊子体を作成して,今後のWSの企画・運営に活用できるようにした.また,アメリカのChild Life Councilの許諾を得て『チャイルドライフカウンシル遊び活動レシピブック日本語版』の翻訳作業を終え,配付の準備を整えた.さらに,WSのノウハウをまとめた『研修プログラム集・教材集』の編集方針を固め,平成25年度の研究活動に引きついだ.これらは,本研究の目的である「持続可能でローカルな研修システムの基盤形成」の根幹をなす構成要素を構築するものとして重要である. ②に関しては,職能団体向けの単発のCSの他,1医療施設においてほぼ月1回のCSを継続してきた.継続CSの成果としては「短期入院患児向け保育支援シート」の開発,新人研修プログラムの開発,日々の保育支援の見直しなど,多岐にわたるものがある.短期入院患児向け保育支援シートの開発過程は,CS先の専門職を主体とする形で日本医療保育学会第16回大会で報告されたほか,①のWSでも活かされた.また,CSを通して病気の子どもに関わる保育士の成長過程を詳細に検討することができたことは貴重な成果である.平成25年度も継続しつつ,CSのためのガイドラインの執筆を急ぐ予定であるが,その素案はすでに平成25年3月までに,研究組織内では提案したところである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,形式的な観点からみた場合は,次の通りである. 全国4カ所で開催している多職種合同ワークショップは順調に進められていること,『多職種合同ワークショップ実施ガイドライン』は公開できたこと,施設・職能団体向け研修コンサルテーション・スーパービジョンは継続できていること,『研修プログラム集・教材集』の編集方針を確立したこと,最終年度の平成25年度にマネジメントに関する研修を計画していることなど,当初予定していた柱となる研究内容の遂行状況から順調と評価できる.しかし,大量に収集されている各種データの解析作業と研究発表に関して遅れ気味であること,研修コンサルテーション・スーパービジョンの場を拡大できていないことから,すべてを順調と評価することはできない. 次に,内容的な点に注目した場合は,次の通りである. 研究組織が行っている多職種合同ワークショップや研修コンサルテーション・スーパービジョンのサステイナビリティの確保という目標については,研究期間後にこれらの企画が継続するかどうかが最大の評価基準と考えることができ,その可能性を実証する必要がある.多職種合同ワークショップの運営は,地域毎の専門職の職場状況や専門職間のネットワークの状況に影響されるため,さまざまな工夫や配慮が必要であった.これらの経験は,『多職種合同ワークショップ実施ガイドライン』にも反映されているが,さらに吟味を続けなければならない.また,各地域においてキーとなる人材の発見と育成が求められてきた.4つの地域ごとにキーとなる人材の協力は得られている.人材を活かす方策に関しては,さらに試行錯誤が必要と思われるが,平成25年度のワークショップでは,マネジメント研修において「ワークショップ・スーパーバイザーの育成」という観点を導入するなど,具体的方策をもって取り組むことができている. 以上を総合して,概ね順調と評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
すでに公開した『多職種合同ワークショップ実施ガイドライン』加え,『研修プログラム集・教材集』『研修コンサルテーション・スーパービジョンのガイドライン』を完成させ,インターネットにて公開する.これにより,研修のノウハウを多くの人たちと共有することを目指す. これらのガイドラインに基づく多職種合同ワークショップおよび研修コンサルテーション・スーパービジョンを継続することで,ガイドラインに基づく研修の担い手の育成をさらに進める.とくにマネジメント研修を実施し,「ワークショップ・スーパーバイザー」の養成に道を付けることで,サステイナビリティを高める. これまでに蓄積された研究データの解析を急ぎ,多職種合同ワークショップと研修コンサルテーション・スーパービジョンの考え方,内容,方法の精緻化を進める. 各種ガイドラインと『研修プログラム集・教材集』を素材として,私たちの目指しているローカルでサステイナブルな研修システムの構築の可能性,課題等について,関係各界から専門的意見を求める場を設ける.また,関係学会において研究発表を行うことも重視していきたい. 以上を通して取り組み全体を客観的に見直していき,研究の最終目標の達成に結びつけたい.
|
次年度の研究費の使用計画 |
残額2767円は,札幌市立大学におけるワークショップの案内文発送に係る大学振り替え経費(郵便料金4~10月)および大学振り替え経費(大学封筒4~10月)の決定予算(確定)が予算見積額を下回ったため生じた.その理由は,当該の案内を直接手渡しできるものがあったためである.これは計画そのものに影響を与えるものではない.残額は平成25年度のワークショップ等の企画運営に活用することとする.
|