研究課題/領域番号 |
23531322
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
林 恵津子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00413013)
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研究分担者 |
田中 裕 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (40255196)
松本 秀彦 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (70348093)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
24年度は、瞬きの自動検出システムおよび分析ソフトの試作、瞬きと他指標との同時記録を計画した。 1.瞬きの自動検出システムは、工学部の画像処理専門研究者との連携を得て、より使いやすく、より正確な検出システムの開発に取り組んだ。具体的には、(1)画像から顔を認識する、(2)顔から眼を検出する、(3)眼の面積の減少を瞬きと認識するソフトを開発に取り組んだ。重症心身障害児は体の動きが少ないため、顔の認識までは到達できた。しかし、(1)瞬きの持続時間(目を閉じ始めてから再び開くまでの所要時間)が、健康な人に比べて非常に長い例が多い。これを瞬きとして処理するかどうか検討中である。また、(2)顔を横に向けると、画面上は眼の面積が減少するため、これも瞬きと誤認識する。さらに(3)麻痺との関係で、顔面が正中線に保てない人もいる。このような重症心身障害児・者特有の課題にどのように対応して、より正確に瞬きを検出するか、問題点を整理して対応を検討している段階である。 2.瞬きの記録は、協力病院の都合で今年度は記録ができなかった。これまで記録した瞬き画像の分析にあたった。今年度は、視覚刺激の提示の有無で、瞬きに変化が観察されるかを中心に取り組んだ。重症心身障害児者で肢体不自由が重いほど、視覚的情報に対して、即座に顔の方向を変えたり、両眼の位置を調整することが困難である。つまり、視覚情報に機敏に対応し、追視や注視により対象物をとらえることが難しい。療育者は表出行動のみでは、対象者が視覚情報を取り入れているか判断が困難である。しかし、瞬きを指標にすることで、追視や注視の得られない事例でも、瞬きには変化の観察された事例があった。これにより、視覚情報を取り込み覚醒が変化した、もしくは定位が発現したと考えられ、療育の「見る活動」の有効な事例が特定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。 瞬きの画像記録を1秒間を30コマとし、1コマずつコマ送りにして瞬きの開始と終了を同定している。そのため膨大な時間を要している。瞬きの自動検出システムの開発は大きな課題である。そのシステム開発に、画像処理専門研究者の協力を得て知り組んでいることは大きな進展である。 一方、瞬きの記録は、協力病院の病棟建物の新築に伴う患者移送のため、今年度は記録がかなわなかった。 よって、達成度の自己点検は、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、瞬きと他指標の同時記録と、個別の支援計画評価フォーマットの試案作成を予定している。 瞬きと他指標の同時記録は、協力病院にて行うことを計画している。今年度は反射性瞬きを記録する予定である。 個別の支援計画評価フォーマットは、協力病院の療育指導室職員と連絡会を開き、現場で有効な支援計画評価フォーマットと、そのために瞬き記録をどのように活かすか検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度にむけて、18万円ほどを未使用として繰り越した。 これは、国際学会での発表を予定しているためである。国際学会の参加費は、ひとり29,000円である。研究代表者と研究協力者4名分の参加費として、116,000円を支払う予定である。 また、瞬きの自動検出システムの開発のために、5万円ほどの開発費を使用する予定である。これらを合わせて、18万円ほどの繰越金の根拠である。 25年度は、国内学会(日本生理心理学会、日本心理学会)での発表費と交通費、瞬きの記録のための消耗品費、会議費を中心に使用する予定である。
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