研究課題/領域番号 |
23540002
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
別宮 耕一 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60364684)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 群論 / 代数的符号理論 / 頂点作用素代数 |
研究概要 |
本研究の目的は、これまで得られた立方重偶符号に関する計算機による数値実験の結果、及び、分類結果から得られた知見を基に立方重偶符号についての一般論を確立することである。加えて、その結果を立方重偶符号との強い関係が見い出されている頂点作用素代数についての研究に応用することで、頂点作用素代数についての新たな知見が得られることを期待している。 まず、研究代表者と共同研究者による先行研究の結果として、長さ48の極大立方重偶符号の分類が得られている。これは極大立方重偶符号の性質を調べ上げることを通して、アルゴリズムを考案し、計算機を用いることで分類がなされている。その結果、それまでの規則性に反する新たな極大立方重偶符号の存在を確認するに至った。その極大立方重偶符号は、三角グラフと呼ばれる古典的なグラフの隣接行列から生成される符号を拡張したものであり、その次元は他の極大立方重偶符号と比較して規則性から外れた性質を有していた。 そこで、この例外的な符号について、他の長さでの類似物の存在性を確認することを本研究課題の最初の目標として設定した。その結果、候補となることが期待される類似の立方重偶符号の存在を確認するに到っている。ただし、それらの符号の極大性については平成23年度終了時点では検証するに到っていない。この極大性について、今後コンピュータを活用した方法と、組合せ論、群論などの手法を用いた理論的な方法との両面からの検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、立方重偶符号が備える三次形式の構造が立方重偶性の解明につながる構造として有望であると考え、二元体上の三次形式の備える性質の解明を通して、立方重偶符号の解明に繋げていく計画であったが、三次形式の構造は予想していたより複雑であったため、研究が予定と比較して進展していない。
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今後の研究の推進方策 |
極大であると期待している立方重偶符号について、コンピュータを活用した方法と、組合せ論、群論などの手法を用いた理論的な方法との両面からその極大性の検証を進めていく。同時に二元体上の三次形式の備える性質の解明を通して、立方重偶符号の解明に繋げていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、設備備品費として、数値実験に必要な数式処理ソフトウェアの購入、計算機の周辺機器の購入を予定している。また、国内旅費として、他の研究者との情報交換のため、研究集会「代数的組合せ論シンポジウム」を研究代表者の所属する大学内で開催することを計画している。同時に研究代表者が研究協力者との打合せを行うために用いる他、情報収集のを目的とした研究集会参加のために用いる。同時に研究協力者との情報交換の場でもある東北大学で行われる「組合せ論セミナー」に参加することを計画している。
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