研究概要 |
エルミート定数と呼ばれる基本領域のある不変量は渡部隆夫氏により、線形代数群の場合に拡張されている。保型形式の次元公式との関係として、ユエンの結果がある。これはエルミート定数が正則離散系列表現における有界保型形式の次元公式に応用を持つというものである。一般線形群GL(n)の極大放物型部分群の場合には、ランキン定数と呼ばれるものとその拡張は一致する。ランキン定数については、クーランジェオンの論文に詳しく、4次の場合、A4, D4, W4 格子といったルート格子が知られている。しかし、その性質は多く未解決であり、そもそも知られている例以外の存在も未知なためその例を得ることは重要である。以上述べた研究題目の背景により、またクーランジェオンとの研究連絡によるパーフェクト格子についていくつかの重要な知見を得たことにより、パーフェクト格子について深く研究することが重要であると考えるに至った。今回の研究において、(1) 4次一般線形群の場合、プリュッカ座標を用いることにより、GL(2,Z)-同値類を得た。(2) マルチネによる評価を利用すれば、GL(4,Z)-同値類は、プリュッカ座標における評価が得られた。(3) これを併せると、すべての (4,2)型-パーフェクト形式の同値類は 122通りの超曲面にのっていることがわかった。このことより、研究代表者の斜交群の場合のジーゲル基本領域における零セルの計算のグレブナー法を援用することにより、ヴォロノイアルゴリズムに類似の探索を行うという今後の研究の展開への方針を得た。
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