研究課題/領域番号 |
23540007
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
越谷 重夫 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30125926)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | ブルエ予想 / 導来同値 / 森田同値 / ブロック / 不足群 / アルペリン予想 |
研究概要 |
有限群のモジュラー表現論における「ブルエ予想」の解明が今回の研究課題であるが、ある特定の大事な有限群に対してこの予想が成立するということが、証明できた。その群は、コンウェーの第3の群 Co3 と呼ばれる散在型単純群の一つである。この群については、すべての素数 p に関してのブルエ予想が証明できた。ただ、キーとなるのは p = 2 の場合の非主ブロックについての証明であった。ドイツ・アーヘン工科大学J.ミュラーおよびF.ネスケとの共同研究である。アメリカの学術雑誌 Journal of Algebra に掲載された。 「ブルエ予想」の弱い形のものもあり、これは対応するブロックたちが導来同値であることをいうのではなく、それより少し弱い形の「パーフェクト・アイソメットリー」の存在をいうものである。これは、また別の重要な予想「アルペリン予想」と関連している。2つめの研究実績として、この2つの予想をある特別なブロックに関して、完全に解いた。それは、考えている有限群のブロックの不足群が位数8の基本可換群の場合である。重要な点は、不足群のみにしか条件が付いていない、ということである。この結果は、モジュラー表現論の創始者であった R.ブラウアーの出した問題の一つを30年ぶりに前進させたものである。イギリス・アバディーン大学R.ケサール、M.リンケルマンとの共同研究である。ドイツの学術雑誌 Journal fuer die reine und angewandte Mathematik に掲載が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の研究課題である「ブルエ予想」に関して、完全に解くことはできていないまでも、「研究の目的」の一つに挙げていた位数8の可換群に関してのブルエ予想を、弱い形ではあるが、完全に解くことができた。これは、自己評価として、かなり満足できる結果である。また、これに関連して、大事な散在型有限単純群であるコンウェーの3つ目の群についてもブルエ予想が解けたので、これも自己評価として、満足できる。以上を鑑みて、上記の達成度が結論付けられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究であるが、やはり「ブルエ予想」をあるいくつかの特別な場合について解くことを推進方策としたい。具体的には、位数9の基本可換群を不足群に持つ非主ブロックについてのブルエ予想を検証したい。この予想より少し弱い形の「アルペリン予想」ですら、この場合に一般には解けていない。有限単純群の分類も大いに活用、利用して解くことを目標としたい。また、平成23年度の研究実績の更に先の進んだ話として、位数16の基本可換群を不足群に持つ一般のブロックに関しても、ブルエ予想を解くことを考えたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者がいるドイツ・アーヘン工科大学を訪問して、「ブルエ予想」に関する共同研究を進める。また、同様に共同研究者がいるイギリス・アバディーン大学を訪問して、「ブルエ予想」の共同研究を進める。時期としては、秋以降になるが、1-2週間ずつ滞在する。また、9月末には、ブルエ御本尊も数回講演をする研究集会がイギリス・ブリストル大学で開かれる。これにも参加して、ブルエ予想に関する研究情報を集め、研究打ち合わせを行う。これらのための航空運賃、滞在費が必要なので、次年度研究費の旅費として充てる。また、ブルエ予想などの表現論に関する文献も集める必要があるので、物品費としてこれらの購入に充てる。
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