研究課題/領域番号 |
23540007
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
越谷 重夫 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30125926)
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キーワード | ブルエ予想 / 導来同値 / 森田同値 / ブロック / 不足群 / アルペリン予想 |
研究概要 |
有限群のモジュラー表現論における「ブルエ予想」の解明が研究課題である。今年度は、重要な散在型単純群の一つであるヒグマン・シムス群の重複被覆 Double Cover である 2HS と書かれる群に関して、完全にブルエ予想を解いた。これはドイツ・アーヘン工科大学の二人の研究者 J.ミュラーおよび F.ネスケとの共同研究である。結果は、アメリカの学術雑誌 Journal of Algebra に掲載発表された。 また上記の結果も含めて、浜名湖カリアックおよびドイツ・アーヘン工科大学での研究集会、またハノーファー大学(ドイツ)、バーミンガム大学、レスター大学、ケント大学およびロンドン市大学(すべてイギリス)等で、研究成果の発表を行った。内容はすべてブルエ予想に関するものである。より詳しく述べる。半世紀前頃に発表されたZ*定理(アメリカ・グラウバーマンにより証明されたもの)がある。これの奇数素数に関するものは単純群の分類を用いて、20年ほど前に証明された。今回この研究で得た成果は、これを単純群の分類を用いないで(ただし特別な場合に限るが)ブルエが発見した「森田型安定同値」という概念を用いて、これを証明することができた。単純群の分類は証明が1万ページくらいかかると言われているので、この分類抜きで証明できたことは、考えている場合が特殊な場合に限るのであっても、十分意義あることとされている。その意味でも、成果はえられたと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究課題「ブルエ予想」に関して完全に解くことはまだできてはいない。しかしながら、「研究の目的」に掲げてあったものの一つである、重要な散在型の有限単純群およびそれの被覆に関しては、ヒグマン・シムス群の二重被覆である 2.HS と表記される群が持つ、位数9の基本可換群が不足群になっているブロックについて、ブルエ予想を解くことができた。結果として、この群 2.HS については、ブルエ予想がすべて完全に解け、その意味で、上記の達成度が結論付けられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究題目「ブルエ予想」に関して、更に、ある散在型有限単純群についてこれを解くことを考える。そして、これの副産物として、未だに決定されていない未解決な分解数(カルタン不変量)を決定することを目標とする。これは、ドイツ・アーヘン工科大学の研究者2名と共同研究を行う。また、「ブルエ予想」と関連が深いアルペリン予想、アルペリン・マッカイ予想に関しても、部分的にでも肯定的証明を与えることを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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