研究課題/領域番号 |
23540012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中西 知樹 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (80227842)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 団代数 / 完全WKB解析 |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き団代数の基礎と応用の研究を行い、以下の3つの結果を得た。 1. Schroedinger方程式の単純極におけるStokes現象の団代数による定式化 (岩木耕平氏(京大)との共同研究)。前年度に岩木氏との共同研究によりSchroedinger方程式の完全WKB解析に現れる2重極におけるStokes現象が団代数の曲面による実現を通して団代数の変異により記述されることを明らかにした。本研究では、これに引き続いて単純極におけるStokes現象について調べた。その結果、2重極の場合と並行する結果が、以下の特記すべき事実とともに得られた。i) Stokes現象の幾何学的記述は、通常の団代数の曲面による実現の代わりにFelikson-Shapiro-Tumarkinによる「団代数のオービフォールド曲面による実現」により与えられること ii) Voros係数のStokes現象の記述は、通常の団代数の代わりにChekhov-Shapiroによる「一般団代数」の変異により与えられること。 2. 一般団代数の種子の構造について。1の研究において一般団代数の理論的整備の必要性が生じたことを動機として、一般団代数のいわゆるy変数を用いた再定式化を行い、これらのx変数やy変数が通常のFomin-Zelevinskyによる団代数の種子に対するものと同様にF多項式, cベクトル, gベクトルにより記述されることを明らかにした。これにより、一般団代数が団代数と同等の良い性質を持つものであるという極めて重要な認識に達した。 3. 一般団代数の量子化と一般量子ダイログ関数。2の研究に引き続き、一般団代数のy変数の量子化の研究を行い、量子ダイログ関数を一般化した一般量子ダイログ関数というものを導入することによって自然な量子化が得られることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般団代数は当初の研究の視野に入っていなかったが、完全WKB解析に現れることからその重要性を認識し、団代数と同様の良い性質を明らかた点において、団代数の基礎理論に対する重要な貢献がなされたと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、団代数の基礎と応用の研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年4月1日から5日にアメリカジョージア大で開催された研究集会「The Ninth IMACS International Conference on Nonlinear Evolution Equations and Wave Phenomena: Computation and Theory」にて研究成果を発表する(した)ために研究期間を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年4月1日から5日にアメリカジョージア大で開催された研究集会「The Ninth IMACS International Conference on Nonlinear Evolution Equations and Wave Phenomena: Computation and Theory」にて研究成果を発表するための旅費とする(した)。
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