研究課題/領域番号 |
23540014
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
山岸 正和 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40270996)
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研究分担者 |
水澤 靖 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60453817)
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キーワード | グラフのラプラシアン / チェビシェフ多項式 / 円分多項式 / 双子素数 |
研究概要 |
本研究の目的の一つは各種グラフの系列から定まるラプラシアンの核空間の次元の数論的振舞の解明、数論的解釈である。今年度はまず昨年度の成果であるHunziker-Machiavelo-Parkの問題「P_n x P_n上の加法的セルオートマトンが非可逆的となる原始的なnは無数存在するか」の肯定的解決について論文を完成し学術雑誌に発表した。口頭発表も行なった。また昨年度に引き続き完全グラフのデカルト積のラプラシアンの力学的振舞に関する数論的性質を調べ、論文にまとめて学術雑誌に投稿し掲載が決定した。 もう一つの目的であるラマヌジャングラフの新しい構成法の研究については、文献講読と基礎的考察のみにとどまり、数値計算、結果の創出には至っていない。 交付申請時には予測していなかったが、本研究で培った知見を意外な分野に応用できることを発見し、二つの成果を得た。研究代表者はチェビシェフ多項式と双子素数に関するHumphriesの結果を、円分多項式と(従来マイナーな存在であった)第3,4種のチェビシェフ多項式を積極的に活用することにより大幅に整理し、また数式処理ソフトウェアによる数値計算も援用しHumphriesの一連の予想のうち二つについて反例を発見した。その成果を論文にまとめ学術雑誌に発表した。口頭発表も行なった。研究分担者は有限体の等長埋め込みに関する詳しい研究を行ない、特に標数2の場合にその特徴付けを行なった。その成果を論文にまとめ、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的の一つに関し、Hunziker-Machiavelo-Parkの問題の肯定的解決という大きな成果を上げ、その発表に至った。完全グラフのデカルト積についても研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
一般の C_m x C_n および P_m x P_n の核空間の次元についての精密な数論的解釈はまだできていないので、それに向けて研究を進める。本研究のもう一つの目的であるラマヌジャングラフの新しい構成法に関し研究を進める。本研究で培った知見の他分野への応用についても意欲的に考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由は次の通りである。 ・研究代表者:論文投稿料(12月に支出)の見積もりが直前まで正確にできなかったので若干余裕をみて予算を残しておいたため。 ・研究分担者:平成23年度から24年度への繰越し額が多かったため。 次年度使用額は両者とも大きな金額ではなく、使用計画はほぼ当初の予定通りで問題ないと思われる。
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