研究課題
「付値環上の幾何学」という視点からのリジッド幾何学の応用の可能性を探る第一歩として,主に非アルキメデス的高次元軌道体の理論への応用について研究を進めた.前年度がリーマン面やその軌道体一般化という一次元の幾何学現象を(その一意化,一意化微分方程式,アクセサリー・パラメーター問題という観点から)考察したのに対して,高次元では既知であることが極めて僅少であるため,その基本的な現象を調べることに費やされることになった.高次元における非アルキメデス的軌道体の現象として,以前より申請者の研究を通して知られていた,いわゆる「偽射影平面」にまつわる幾何学的現象に対象を絞り,これに関連した研究を行うことでリジッド幾何学の数論・代数幾何学的応用の可能性を探ることとした.結論として,これに関する数論・代数幾何学的知見として新しいものを多数得ることができた.また,この研究の方向性から,非アルキメデス的一意化として従来知られていたものを一般化・拡張し,新しい種類の一意化現象を捉えることにも成功した.これらの研究はテキサス大学オースティン校教授のDaniel Allcock氏との共同研究という形で発表することを予定している.また,一次元の現象についても引き続き研究を継続し,正標数の数論的代数曲線のgonality数について,非アルキメデス的な視点から新たな結果を得ることもできた.これはユトレヒト大学のGunther Cornelissen教授らとの共同研究という形で,すでに発表しており,現在査読中である.
2: おおむね順調に進展している
「付値環上の幾何学」という視点からのリジッド幾何学の基礎付けとその数論・代数幾何学への応用という観点から,現実的な結果を多数得ている.基礎付けという観点からは,その最終的な著作を企画しており,現在進行中である.その意味で,到達度は当初の予想の範囲内であると言える.
「付値環上の幾何学」という視点からのリジッド幾何学の基礎付けおよび応用という視点に鑑み,次年度は特にその「基礎付け」の方を充実させるための研究を行う.そのため,前年度および今年度の研究を踏まえて,これらを整理・一般化する方向を模索する.
該当なし
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
Adv. Math
巻: 未定 ページ: 未定
Proc. Japan Acad., Series A
巻: Vol.88, Number 2 ページ: 25-27
10.3792/pjaa.88.25