研究課題/領域番号 |
23540017
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
田川 裕之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80283943)
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キーワード | hook length poset / d-complete poset / leaf poset / 行列式 / 超幾何級数 / Askey-Wilson 多項式 |
研究概要 |
ある種の母関数が q 整数の積の形で表せる順序集合(poset)は hook length poset と呼ばれ、目に見える形で定義された hook length poset として、現在知られている最も大きなものは、6 種類の系列として定義される leaf poset である。hook length poset の構成法の確立と組合せ論的特徴付け、leaf poset の拡張と組合せ論的及び表現論的意味付け、周辺分野の数学的対象(対称関数、超幾何級数、行列式、Pfaffian、直交多項式等)の解析を目的とした研究を行い、本年度は主として下記の結果を得た。 ・昨年度につきとめた「leaf poset を出発点として、これまでに得られた構成法を用いても作られない」2個の hook length poset を含む新しい hook length poset の系列の一つを発見した。また、その系として、新しい Schur function の無限和の等式が得られた。尚、この新しい hook length poset は multivariable hook length poset であることも分かった。 ・これまでに得られた hook length poset から hook length poset を構成する方法を再考察し、4種類の構成法にまとめた。さらにそれらの多変数版となる構成法を構築した。この構成法により、元の個数が 9 個以下の hook length poset は全て multivariable hook length poset であることも分かった。 ・これまでの構成法では得られない一般化の期待できる multivariable hook length poset を多数発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに知られていない multivariable hook length poset の系列を発見することができた。さらに、既存の hook length poset から新しい hook length poset を構成する方法の多変数版が得られた。また、一般化の期待できる新しい multivaliable hook length poset を多数見つけることができた。これらの結果は今後の研究の進展に大いに寄与すると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた結果をさらに進展させる。具体的には次となる。 ・新しい multivariable hook length poset の系列と新しい構成法の作成。 ・行列式、Pfaffian、超幾何級数を含む周辺分野の解析をさらに行い、leaf poset が hook length poset であることの統一的証明につなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
琉球大学の石川雅雄氏、リヨン大学の Jiang Zeng 氏との研究連絡を密に行い、さらに全国各地で開催される学会、研究集会、ワークショップ等に積極的に出席し、多くの研究者の意見を聞き、研究の推進に努める。
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