研究実績の概要 |
ある種の母関数がq整数の積の形で表せる順序集合は hook length poset と呼ばれ, 現在知られている最も大きな hook length poset の系列は, leaf poset である。hook length poset の構成法の確立と組合せ論的特徴付け, leaf poset の拡張と組合せ論的及び表現論的意味付け, 周辺分野の数学的対象(対称関数, 超幾何級数, 行列式, Pfaffian, 直交多項式等)の解析を目的とした研究を行い, 主として次の成果を得た。 ・d-complete poset が multivariable hook length poset であることを利用して, leaf poset が multivariable hook length poset であることを証明した。 ・Mehta-Wang の行列式とそのq類似の拡張となる行列式を Askey-Wilson 多項式を用いて表示した。また, Gram determinant について Wilson が 1991年に得た結果を, Krattenthaler 型の行列式に拡張し, Wilson の結果の証明にも利用できるq超幾何級数の二乗公式を得た。 ・lattice path method を矩形行列式へと拡張し, Aztec diamond の左右対称な domino tiling の総数を矩形行列式を用いて表示した。また, 矩形行列式を Pfaffian を用いて表し, 矩形行列式に対する Desnanot-Jacobi adjoint matrix theorem を証明した。 ・Aztec rectangle の domino tiling についての共同研究を行い, tiling の総数を「成分が (2,1) 型の超幾何級数の行列式」で表した。
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