本研究は、生成多項式及び不定方程式の分析により、ある種のイデアル類群を持つような代数体の構成を目的としている。本年度得た結果は次の通りである。 1.昨年度より連携をしている学習院大学の河本史紀氏、名城大学の冨田耕史氏に名古屋大学の鈴木浩志氏を加え、末尾急増型の連分数展開を持つような2次無理数に関する共同研究を進展させた。主な結果は次の2つである。1つ目は、末尾急増型の連分数展開を持つような2次無理数の特徴づけを行ったことである。このことは1990年代になされたE. P. Golubeva氏の結果を大いに利用している。2つ目は、末尾急増型となるための条件から1つを抽出し、その条件を分析することにより、末尾急増型の2次無理数の構成に関する原理を解明したことである。その結果、末尾急増型の2次無理数をすべて与える構成法を得ることに成功した。これらのことは論文としてまとめ、現在投稿中である。 2.島根大学の青木美穂氏との共同研究として、定数項が1となる整数係数を持つあるパラメトリックな4次多項式の分析を行った。その結果、ある条件の下で、4次多項式の根を添加した4次体の基本単数を、多項式の根を用いて具体的に記述した。これは類数が5で割れる2次体の族を与える足掛かりとなる結果と考えるが、そこまでの進展は得ることができなかった。今後の研究課題としている。なお、上記結果の4次体が総実になる場合については、ある種の不定方程式を解くことにより結果を得ている。
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