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2011 年度 実施状況報告書

モジュラー群の巾零完備化のモチーフ的構造

研究課題

研究課題/領域番号 23540021
研究機関佐賀大学

研究代表者

市川 尚志  佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201923)

研究分担者 上原 健  佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80093970)
宮崎 誓  佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90229831)
寺井 直樹  佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (90259862)
廣瀬 進  東京理科大学, 理工学部, 准教授 (10264144)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード数論幾何 / モチーフ / モジュラー群 / モジュラー曲線 / 多重ゼータ値
研究概要

研究の具体的内容: 楕円モジュラーモチーフ、すなわち楕円モジュラー群の巾零完備化から定まるモチーフの構造を研究した。特に合同関係式を満たすHecke作用素の理論を構成し、その作用素による分解を用いて楕円モジュラーモチーフの半単純性を示した。さらにこの結果の応用として、多重モジュラーL値の代数性や、Ceresa輪体から得られるモジュラー曲線上の因子周期の代数性を示した。研究の意義: 楕円モジュラーモチーフは、数論幾何において最近注目を集めている研究対象であり、混合モチーフ、Galois表現、多重モジュラーL値などのテーマと深く関わりがあるが、その重要性にも関わらず今まで余り研究が進んでいなかったのが実状である。本研究においては、新しいHecke作用素の理論を導入することにより、楕円モジュラーモチーフに関する全く新しい見方が示されると共に、強力な研究方法が与えられたことに大きな意義がある。研究の重要性: 多重ゼータ値については近年数多くの研究がなされてきたが、本質的な結果は、混合Tate モチーフの理論による所が大きい。その拡張としてモジュラー形式から生ずる多重モジュラーL値を考えるのは自然であるが、楕円モジュラーモチーフの構造を調べる手段が開発されていなかった。本研究においては、新しく構成されたHecke作用素による分解を用いて、楕円モジュラーモチーフの半単純性を示し、多重モジュラーL値の持つ代数性という著しい性質を導くことができた。またモジュラー曲線上の因子周期の研究は、今までHeegner点から得られるものに集中していたが、Ceresa輪体から得られる因子周期の代数性を示すことにより、Birch and Swinnerton-Dyer予想への展望を与えることができた。従ってこれらの成果は、数論の新しい研究対象を開拓したと見なすことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

楕円モジュラーモチーフにおけるHecke作用素の理論については、以前の議論の誤りを修正し、新しい構成方法を与えることができたため、当初の計画の理論的な部分を進展させることができた。

今後の研究の推進方策

Hecke作用素の定義を修正したため、この作用素を実際に計算する方法を与えて、多重モジュラーL値の計算に応用することが今後の課題となる。またタイヒミュラーモジュラー群の相対巾零完備化から生ずるモチーフに対し、Grothendieckにより提唱されたタイヒミュラーのレゴゲームが成り立つかどうか、を調べることも行いたい。

次年度の研究費の使用計画

・研究分担者と共同して、上記の方策に基づき研究を進める。・代数幾何学、数論についての専門書及び論文集を購入し、研究分担者と共同で行うセミナーでこれらの最新の成果を学ぶ。・他大学・研究機関(外国を含む)に出張し、数論幾何についての最新の成果を勉強し、またこれらの話題について共同研究及び成果発表を行う。・他大学・研究機関(外国を含む)の研究者を招いて、数論幾何を中心とするテーマについての講演会及び共同研究会を行う。・他大学・研究機関(外国を含む)で行われる数論幾何を中心とする研究集会について、参加者への旅費等の支給を中心とした資金援助を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Vector bundles on a Riemann surface2011

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ichikawa
    • 雑誌名

      Math. Z.

      巻: 268 ページ: 969~977

    • DOI

      10.1007/s00209-010-0703-8

    • 査読あり
  • [学会発表] Moduli of algebraic curves and automorphic forms2011

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ichikawa
    • 学会等名
      Modular forms and their geometric applications(招待講演)
    • 発表場所
      Korea Institute for Advanced Study
    • 年月日
      2011年8月29~30日
  • [図書] Algebraic Number Theory and Related Topics 20092011

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ichikawa, Masanari Kida, Takao Yamazaki
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      RIMS, Kyoto University
  • [図書] Geometry and Analysis of Automorphic forms2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Hamahata, T. Ichikawa, A. Murase, T. Sugano
    • 総ページ数
      377
    • 出版者
      World Scientific Publishing

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公開日: 2013-07-10  

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