研究概要 |
本年度の研究実績に関しては、この3年間の研究成果を整理し、新たに進展したこととを合わせて、学会、国際的な研究集会などでの発表を行った。研究面での進展に関しては、松本耕二氏と共同で行っている多重ゼータの平均値定理に関して、一定の成果が確定し、それを論文としてまとめ、日本数学会の欧文紀要へ提出して掲載が決定した。これはいわゆる Atkinson の方法を経由して、リーマンゼータ関数の帯状領域での値の振る舞いとも関係するもので、これまでにない研究の一つといえる。我々の結果を踏まえて、他の数名の研究者がその改良などを行って、研究集会などで報告を行っている。なおすでに、その一部の結果に関しては、数理研講究録1874「解析的整数論とその周辺 - 近似と漸近的手法を通してみた数論」(2014年1月出版)において報告論文として出版された。 さらに、共同研究者の松本耕二氏、小森靖氏との共著論文 `Functional equations for double L-functions and values at non-positive integers (Int. J. Number Theory 7, 2011) において定義した Kubota-Leopoldt p進L関数の二重化にあたる関数について、名古屋大の古庄英和准教授も含めた共同研究において、その一般的な多重化にあたる関数を構成し、その特殊値を明示的に記述するということに成功した。これは今までにない研究で、そのために複素の多重L関数の特異点解消理論を確立したことが重要である。 これらに関しては、すでに arXiv に論文として投稿し、2013年7月の数理研研究集会、10月の関西多重ゼータ研究会、11月の九大代数学セミナー等で報告した。
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