現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画調書,研究目的に述べたテーマ A1), A2), B), C) の内,平成23年度中に着手を予定していた A1) Shintani ゼータ関数の挙動と多変数超幾何関数論,および,A2) 正則・非正則 Eisenstein 級数の挙動と多変数超幾何関数論の前半部分に関して,当初の計画に見合ったほぼ満足のいく形に研究が進捗していると考えられる.A1) に関しては,現時点で速報の形ではあるが,成果の概略が,欧文論文「Asymptotic expansions for double Shintani zeta-functions of several variables」が AIP Conference Proceedings, No. 1385 に所収され公表された.詳細については,現在欧文論文を準備中で,欧文学術雑誌に投稿予定である. また,テーマ A2) に深い関連をもつ研究対象として,一般化 Epstein ゼータ関数の漸近的挙動についての解明も現在進捗しており,成果の詳細を欧文論文「Complete asymptotic expansions associated with Epstein zeta-function II」として現在執筆中で,欧文学術雑誌に投稿予定である.現時点で,一般化 Epstein ゼータ関数に多変数超幾何関数論を応用する段階にまでは至っていないが,今後この方面の解明を一層進捗させるためにも,上記論文の執筆完了が望ましい. さらに,平成23年度は,テーマ B) テータ関数の挙動と多変数超幾何関数論,に関連して,Thomae や Jackson らが導入した古典的な $q$ 積分や $q$ 微分に対して,その多重作用の,単位円板 $|q|<1$ 内を $q\to1$ とするときの漸近的挙動も解明した.
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