研究課題/領域番号 |
23540027
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
諏訪 紀幸 中央大学, 理工学部, 教授 (10196925)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Kummer理論 / Artin-Schreier理論 / group scheme / torsor / Hopf代数 / Hopf-Galois理論 |
研究概要 |
本研究の主な目的は、体のGlaois理論では基本的な、そしてetale cohomologyの理論の出発点である、Kummer理論やArtin-Schreier理論を一般の可換環あるいはschemeの上で一般のfinite flat group schemeに対して定式化し、理論を展開することであった。 constant finite groupに対しては、Serreが半世紀前Groupes algebriques et corps de classeにおいて、体の上で展開していた議論を一般の環の上で改めて定式化し、巡回群の場合に詳細に研究して、その結果は既に学術誌に公表してある。そこでは、群環の単数群をgroup schemeとして捉えることが本質的であった。 一般のfinite flat group schemeの群環に相当する概念は何であるべきかということが最初の問題であるが、竹内光弘や増岡彰の各氏が体の上で研究していたfree Hopf algebraがそれであることに気付き、constant finite groupの場合と同様に、議論が展開されることを示し、特にsculpture problemやembedding problemを定式化してcleft torsorの特徴付けを与えた。finite flat commutative group schemeの場合は、申請者の指導の下で学位論文をまとめた津野祐司がGrothendieck resolutionを用いてsculpture problemやembedding problemを研究しているが、それをも包括する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般のfinite flat group schemeに対して、constant finite groupの場合と同様にsculpture problemやembedding problemを定式化してcleft torsorの特徴付けを与えたことは、本研究の第一歩はともかく印されたと評価してよい結果であろう。 ただ、事例がまだ少なく、広い説得力に欠けることをは認めなくてはならないかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
大枠は出来たが、具体例が少ないので、そこの強化を図る。特にfinite flat group schemeは可換な場合には体の上のDiudonne理論を初めとして精密な研究がなされているが、非可換な場合は増岡彰氏による体の上での研究くらしかめぼしい結果はないようである。素数冪位数の有限群は中心降下列を持つという群論では常識に属する結果もfinite flat group schemeに対しては成立しない。その点について考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書にあるように研究費の殆どは旅費と図書費に回される。旅費は今年度開催される代数学、特に整数論に関する研究集会に参加のための費用に充てられる。図書費は代数学、特に整数論や代数幾何学に関する書籍の購入に充てられる。
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