研究課題/領域番号 |
23540027
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
諏訪 紀幸 中央大学, 理工学部, 教授 (10196925)
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キーワード | Kummer理論 / Artin-Schreier理論 / group scheme / torsor / Hopf代数 / Hopf-Galois理論 |
研究概要 |
論文 Artin-Schreier-Witt extensions and normal bases が Hiroshima Mathematical Journal に掲載された。ここ数年、正規底をもつ有限群スキームに対する torsor について、群環の単数群を表現する群スキームと関連させて議論する Serre のアイデアを一般化して研究を進めている。特に、本研究の課題の一つであるが、sculpture problem と embedding problem を定式化して、様々な有限群スキームに対して議論を試みている。この論文はその一環で、そこでは Artin-Schreier-Witt 拡大の正規底問題を Artin-Hasse exponential series の変形を用いて理論的には完全に記述した。したがって、手間さえ厭わなければ与えられた次数の Artin-Schreier-Witt 拡大の正規底を具体的に記述することが出来る。 また、一昨年度おおよその結果を得ていたが、 finite flat group scheme に対する torsor が cleft である条件を group scheme の群環を用いて記述できた。これは Serre の議論の自然な一般化であるが、Hopf 代数の枠組みでなされていた竹内、増岡、Kassel による一連の研究と深い関係があることが判明した。以上を踏まえて Group algebras and normal basis として論文にまとめ、近々投稿の予定である。 さらに、昨年度は木田雅成などによって研究されていた algebraic torus に対する Kummer 理論について正規底の問題を考察した。これについてはある程度の結果を得、3月に早稲田大学で開催された早稲田整数論研究集会で発表する機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般の finite flat group scheme に対して、constant group scheme の場合と同様に sculpture problem や embedding problem を定式化したが、これが Hopf 代数の枠組みでなされていた竹内、増岡、Kassel による研究と深い関連があることが判明した。さらなる展開を期している。 また、木田、小松、橋本、陸名などによる研究の蓄積がある algebraic torus に対する Kummer 理論を sculpture problem や embedding problem の視点から見直すことが出来た。まだ、完全に定式化したとは言い難く、説得力を持つように議論をまとめる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
非可換な finite flat group scheme に対する sculpture problem や embedding problem を深めるにはまだ至っていない。ただ、 algebraic torus に対する Kummer 理論に関して sculpture problem や embedding problem を十全に定式化するのはそれ相応の時間と労力を割かなければならない。並行して研究を進めるというわけにもなかなか行かないので、当面 algebraic torus に対する Kummer 理論について考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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