研究概要 |
本研究では、正規底をもつ有限群スキームに対する torsor について、群環の単数群を表現する群スキームと関連させて議論する Serre のアイデアを一般化して研究を進めて来た。その研究の一環として一昨年度来、木田雅成などによって研究されていた algebraic torus に対する Kummer 理論について正規底の問題を考察している。これに関して、2013年3月に早稲田大学で開催された早稲田整数論研究集会で発表する機会を得たが、年度が明けてから刊行された 「早稲田大学整数論研究集会2013」報告集に「algebraic torusに対するKummer理論と正規底問題」として、講演内容について詳しく解説した論稿が掲載された。また、8月に九州大学で開催された福岡数論研究集会で、その後の発展について「Kummer theory for algebraic tori and normal basis problem, some examples」と題して発表する機会を得た。 また、2011年12月に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「代数的整数論とその周辺」では研究代表者を務めたが、その報告集を東京大学の志甫淳教授、中央大学の佐藤周友教授とともに編集し、ようやく数理研講究録別冊の一冊とした刊行されるに至った。「代数的整数論とその周辺」は、数理解析研究所で毎年開催されている、整数論の分野では最も権威ある国内での研究集会であり、報告集に掲載される論説にはすべて査読が付けられている。このような研究集会の研究代表者を務めるということは、本研究とは直接の関係はないにしても、「クンマー理論を巡って、群スキームの観点から」という課題の下に進めて来た一連の研究が多くの研究者に認められていることの証左にはなるであろう。
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