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2011 年度 実施状況報告書

ゼータ関数を軸とした線型符号および数論的関数の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23540034
研究機関近畿大学

研究代表者

知念 宏司  近畿大学, 理工学部, 准教授 (30419486)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードゼータ関数 / 剰余位数 / 平方剰余 / 自然密度
研究概要

今年度は、平方剰余の条件のついた剰余位数分布問題において成果が得られた。これはデデキントゼータ関数が関連する問題である。まず、整数 a と素数 p(p は a を割らない)を取る。Z/pZ の乗法群における a の(群論的意味での)位数を D_a(p) で表すことにする。これは広い意味で数論的関数の一種と捉えることができる。他に整数 b を取ってルジャンドル記号を (b/p) で表す。このとき、集合 S_{a,b}(k,l)={p は素数; p は a,b を割らない、D_a(p)≡l (mod k)、(b/p)=1} の自然密度を考察するのがこの問題である。これは、集合 Q_a(k,l)={p は素数; p は a を割らない、D_a(p)≡l (mod k)} の自然密度を考察する剰余位数分布問題の自然な拡張である。Q_a(k,l) に条件 (b/p)=1 を付加することで、Q_a(k,l) は確率的にはちょうど二分されるはずであるが、a と b が互いに代数的に影響を与え合うことにより、確率的推論が成り立たない場合がある可能性がある。こうした事情を調べることが目的である。今回、k=q が素数であり、l=0 の場合を主に考察した。その結果、多くの場合は S_{a,b}(q,0) の自然密度はQ_a(q,0) のそれの 1/2 となるが、ある場合には確率的推論通りにならない場合があることが判明した。それは(条件は複雑なので詳細は述べられないが、荒く言えば)a または b が素因子として 2 を含み、かつ q=2 の場合に起こることである。そしてその場合は、ごく間接的ではあるものの、原始根の動きを観察できていると考えることもでき、大変興味深い結果が得られたと考えている。他に、関連する数値実験も数多く行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

数論に現れる関数の値分布を考察するにあたっては、確率的推論通りになるか、そうならない場合があるか、ならないとすればその背景は何かを考察することが重要で、この点が研究目的の一つである。こうしたことを鑑みると、平方剰余つき剰余位数分布問題において、実際に確率的推論が成り立つ場合とそうでない場合が見つかり、そのいくつかの理由もおおむね推定できる状態になり、当初予想した以上の興味深い結果が得られたことは非常に大きな成果である。この成果は第9回「代数学と計算」研究集会 (AC2011) において発表しており、成果発表という面においても実績を残すことができた。このため、当初の計画以上に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

平方剰余つき剰余位数分布問題において、パラメーターを変更して平方剰余条件の影響を探る研究を推進することを考えている。これにも、従来の問題において使用した方法はおおむね適用可能と考えられる。他に、新しい方向として、離散対数の分布について考察することも考えている。これは暗号理論との関係においても意義ある課題である。他に、符号理論における線型符号のゼータ関数とその拡張についても考察を開始したい。最終目標はリーマン予想が成り立つための必要十分条件を求めることであるが、不変式の範囲があまりに広いとある意味病的な現象が起こることがすでに確認されている。そのため、設定すべき不変式環の種類等について、まずは考察したい。

次年度の研究費の使用計画

物品費として、整数論、符号理論、暗号理論関連の書籍に9万円程度を、ノート、メモリー、ファイル類などの文具に1万円程度を使用する予定である。旅費としては、成果発表や情報収集などのための国内旅費に約10万円程度、外国人研究者招へいのための旅費に30万円程度使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 平方剰余の条件を付加した a (mod p) の剰余位数の分布について2011

    • 著者名/発表者名
      知念宏司、田村知佳子
    • 学会等名
      第9回「代数学と計算」研究集会(AC2011)
    • 発表場所
      首都大学東京国際交流会館(東京都)
    • 年月日
      2011年11月9日

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公開日: 2013-07-10  

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