研究概要 |
この研究課題における研究の最終目標の一つは標数2のGF(2)上n次元有限体Fに対しF上のQuadratic APN関数で非同値なものをすべて求めることにある。その目的は遠大である。Fの交代積Vを考え、r=n(n-3)/2とおき、Vのr次元部分空間でnonzero pure vectorを一つも含まないものの集合をS(NP,r)とする。置換群(GL(F), S(NP,r))の可遷域の一つ々とF上のQuadratic APN関数の同値類の一つ々が対応することがこれまでの研究で示されている。M:=|S(NP,r)|の値が評価できれば、F上のQuadratic APN関数の非同値なものの個数の下限が求まる。Mの評価式として、下記の二つの式を得た。M=s(0)-s(1)+s(2)-s(3)+・・・+s(p)(pが偶数), M=s(0)-s(1)+s(2)-s(3)+・・・-s(p)(pが奇数)で, s(i)=a(0)d(i,0)+a(1)d(i,1)+a(2)d(i,2)+・・・+a(i)d(i,i).ここで、a(t)はすぐ計算できる値であり、d(i,t)は相異なるnonzero pure vector u(1),u(2), ・・・,u(i)が張る部分空間の次元がtとなるようなu(1),u(2),・・・,u(i)の取り方の数を表す。pは零でないpure vectorsの個数である。これからの目標は各iとtに対し、d(i.t)を詳細に評価することである。n=4,5に対して,計算ソフトMagmaを使用してd(i,t)の値は求まっている。現在n=6に対して計算中である。
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今後の研究の推進方策 |
GF(2)上n次元の有限体Fに対し、Fの交代積Vのr(r=1,2,3,・・・)次元部分空間でpure vectors を丁度i個ふくむようなものの個数をa(r,i)とする。a(r,i)を母関数を用いて評価したい。まずn=4,5,6,7までMagmaを用いて全てのa(r,i)達を求め、どのような母関数を考えると効果的であるかを考察する。標数2のcommutative semifieldの各元を3乗する関数をアレンジした関数から標数2の有限体上のAPN関数を構成する。標数が奇素数のcommutative semifieldの平方写像と標数が奇素数の有限体上のquadratic planar functionの関係を余すところなく詳らかにする。
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