研究課題/領域番号 |
23540037
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
谷口 浩朗 香川高等専門学校, 一般教育科, 教授 (60370037)
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キーワード | 有限幾何学 / 双対超卵形 / APN関数 |
研究概要 |
quadratic(2次的)なAPN関数と高次元双対超卵形は、同型類が一対一に対応している。そのことを用いて、今まで知られていた高次元双対超卵形の一つの座標を変形することにより、コンピュータの助けを借りて有限体GF(32)およびGF(64)上の非同値な2次的APN関数を多く見いだすことができた。また、GF(4)上の高次元双対弧(dual arc)で生成空間がPG(5,4)の非同型なものを(コンピュータの助けを借りて)いくつか見いだすことができた。さて、生成空間が高い次元の高次元双対超卵形はすべてHuybrechtsによるもの、Buratti-Del Fraによるもの、Veronesean構成によるもの、(私による)Veronesean構成をひねったもの、の4種類のQuotientになっている(つまり、projectionの像になっている)ものしか知られていない。今回「非常に高い次元(n=(1/r)dd+3d+2次元)を生成空間とするd次元双対超卵形で対称かつ双線形という非常によい性質を持っており、さらに先の4種類のquotientになっていないもの」を多数見いだすことができた。ここにd=nr、nとrは自然数とする。これについては今後発表をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在Buratti-Del Fra型の高次元双対超卵形の本性がどんどん明らかになってきている。(これは現在進行中である。)それに関連して、Buratti-Del Fra型を少しひねった形のものを新たに構成できるようになってきた。この方向は今年度大きく進展させることができると思っている。また、コンピュータの助けによりGF(4)上の高次元双対弧を多く発見できた。PG(5,4)の研究は少しずつ進展している。APN関数はHuybrechts型の高次元双対超卵形のQuotientと見なせるが、座標を少し変形させてできる高次元双対超卵形の構成も低い次元ではコンピュータの助けで成功している。これも少しずつ進展している。以上のようにおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今現在は、Buratti-Del Fra型を少しひねった高次元双対超卵形の構成が大きく進展している途中なので、この方向を中心に研究を進めていく。また、有限幾何の大物たち(DempwolffやKantor)がこの分野に参入してきており、彼らはそれまでsemifieldsの研究で培ったテクニックを駆使して、思いもかけない地平を開いている。この方向の勉強とそれらをさらに深めた研究をしていきたい。APN関数の研究から参入してきた人たち(Edelなど)とも情報交換を活発に行い共同研究をしていく。今後さらに(有限射影平面などの研究からの)参入者が増えていくだろうが、負けないようにがんばりたい。また、コンピュータで低次元の例をいくつも構成していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在進展している研究(Buratti-Del Fra型とそれをひねった形の高次元双対超卵形)について海外や国内で講演する。また、関連する研究分野(主に有限幾何学)の研究者たちと活発に情報交換を行う。ドイツでの有限体や有限体上の関数に関する研究集会(Fq11)や代数的組合せ論シンポジウム、有限幾何の研究集会で発表する予定なのでそのための旅費(の一部)として研究費を使用する。また、東京女子大吉荒氏や近畿大中川氏たちとも論文の勉強会や研究打ち合わせを行うのでその旅費(の一部)としても研究費を使用する。それらが主な研究費の支出になる予定である。また、必要な計算をさせるためのソフトの購入、プリンタートナーの購入、書籍の購入などがその他の支出になる予定である。
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