研究課題/領域番号 |
23540038
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾形 庄悦 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90177113)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | トーリック多様体 / ミンコフスキー和 |
研究概要 |
本研究の目的は、非特異トーリック多様体上のアンプル直線束がすべて射影正規であろうという予想の3次元と4次元の場合の解決である。 平成23年度には、3次元のアンプル直線束の随伴束が大域切断を持たないか、持つとしてもbigでない場合の研究代表者の肯定的解決が論文として出版された。また、多様体の非特異性をはずすとベリーアンプルだが射影正規でないものが3次元以上では、常に存在することを例を多数構成することで示した。これまでは、3次元に1例と5次元に1例のみの存在が知られていた。この結果を電子ジャーナルに投稿し、さらに、ストックホルムでの研究集会で発表した。これらの例は、区間とn単体のミンコフスキー和の形をしている。3次元の場合には、これが非特異なら正規であることを証明した。これについて、国内とオーストラリアでの研究集会で発表した。研究計画の23年度分は、ほぼ達成されたと思える。 射影正規性が証明された後には、その埋め込みによる定義イデアルの研究へと繋がる。非特異トーリック多様体が射影正規に埋め込まれるとき、定義イデアルが2次生成であろうというスツルムフェルスの予想が正しいかどうか検証する具体例が多く得られたことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
区間と多面体とのミンコフスキー和が3次元非特異であるものの正規性については、簡単な多面体の正規性は簡単に示せる。しかし、一般の場合に適用する方法について、組み合わせ論の研究集会参加中に突然アイデアが閃いて巧くいった。代数幾何や組み合わせの研究集会に参加し、様々な研究者と討論することが良い刺激となって、研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、3次元多面体の内部多面体を詳しく研究することにより、アンプル直線束の随伴束がbigでないものの上の他のアンプル直線束の射影正規性について研究する。さらに、内部多面体が大きいときに、ファノ多面体と区間のミンコフスキー和の正規性を研究する。これで、弱ファノ多様体上のアンプル直線束の射影正規性が示せると期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の方針に従い、次年度分として計画している研究の遂行に使用する予定である。
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