前年度に引き続き、偏極トーリック多様体に対応する整凸多面体が整区間とのミンコフスキー和になっているものの正規性について研究した。4以上のnについて、n次元単体的多面体と整区間のミンコフスキー和である多面体のうちで2倍がベリーアンプルだが正規にならない例を構成し、前年度の論文の修正を出した。 また、整区間とのミンコフスキー和で非特異な3次元多面体の正規性の論文は、まだレフェリーからの返答がもらえずに期間が終わってしまった。この結果を応用した、3次元の非特異トーリック多様体でその上のアンプル直線束の随伴束が巨大でないものについて、その上のすべてのアンプル直線束が正規生成であることを証明し、論文として出版した。 さらに、この種類のトーリック多様体のうちで、射影直線への非自明射があるものについて、集合論的に2次式の共通零点になっていることを確かめた。これは、まだ論文にまとめていない。 3次元ゴレンスタイン・トーリック・ファノ多様体上のアンプル直線束で随伴束が正だが巨大でないものの正規生成を証明したが、部分的結果であるので、まだ論文としてまとめていない。 これらの研究における基本的アイデアは、日本国内や海外での研究集会に参加して、研究者と直接意見を交換したことにより、生まれた。研究費のうち多くの割合を旅費に使えたことが、成果につながった。
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