研究課題
ホップ代数を応用して、(1) スーパー代数群、(2) コサイクル変形、(3) Picard-Vessiot 理論の研究を行った。(1) スーパー代数群とは、スーパー対称性に基づく代数群の一般化であるが、代数群のように代数閉体における有理点から復元することはできないため、ホップ代数の方法がより有効になる。柴田大樹氏との共同研究で、可換環上のスーパー代数群を研究した。Harish-Chandra 対とスーパー代数群の間の圏同値を示し、スーパー Chevalley 群の構成に応用した。これを含む一連の研究成果を、アメリカ数学会、カナダ数学会、日本数学会にて発表した。(2) ホップ代数 H 上の2コサイクルを用いて、そのホップ代数を変形することができる。これは、H-余加群全体がなすテンソル圏の構造を、対象の次元まで込めて保つような変形として特徴付けられる。有限次元点状ホップ代数はおよそ、付随する次数つきホップ代数のコサイクル変形として得られる。N. Andruskiewitsch とその弟子たちとの共同研究で、与えられた次数つき点状ホップ代数から、それを与える点状ホップ代数をすべて求める組織的方法を、コサイクル変形の立場から研究した。(3) 研究代表者はかつて天野勝利氏との共同研究で、ホップ代数を用いることにより、微分・差分方程式のガロア理論を含む、より一般のガロア理論を考案した。このたびは柳川信氏との共同研究で、Hardouin による反復 q-差分作用素の Galois 理論が我々の Galois 理論の枠組みに吸収できることを示した。
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Journal of Pure and Applied Algebra
巻: 218 ページ: 684-703
10.1142/S0129167X13500304
International Journal of Mathematics
巻: 24 ページ: 1350030, 27 pp.