研究課題/領域番号 |
23540041
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
酒井 文雄 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40036596)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 平面代数曲線 / 特異点 / ゴナリティ / ワイエルシュトラス点 |
研究概要 |
種数2の曲線の特別な場合(例外的な対合を持つ場合)の2パラメータ族の研究を進め,この族の3次ワイエルシュトラス点の分布を計算した.さらに,自己同型群からくるモジュライ空間のストラティフィケーションとの比較を行い,幾何学的にも興味ある成果を得た.また,3次ワイエルシュトラス点が同時に4次以上の高次ワイエルシュトラスになる仕組みの一端が判明した.結果を見ると,一種の周期性がある.この結果はSaitama Math. J. Vol.28に掲載された. 特異平面曲線のゴナリティを確定するという問題に進展があった.次数 d の特異平面曲線 C において,特異点の最大重複度をνとするとき,以前,ゴナリティG がd-νに一致するための十分条件を議論したことが有った.今回,いくつかの場合に関して,より良い条件を示すことができた.例えば,ν = 3の場合にはおそらく最良であろうと思われる結果を得た.具体的には,下記のような条件である.まず,2次関数 Q(x)=x(d-x) を用意しておく.また,δで C のδ不変量とする.このとき,次の2条件が満たされていれば,等号 G=d - 3 が成立するというものである.(A) δ ≦ Q([d/2])-d-3(B) δ ≦ Q(k_0)-(d-3)+Vここで,k_0 は [d/3] 以上の自然数であり(定義は省略),V は特異点によって定まるある不変量である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種数2の平面曲線族の3次ワイエルシュトラス点の研究,および平面曲線のゴナリティに関する一般論の研究が進展した.これらの結果は,目標とする一般的な素数次巡回被覆曲線族の考察における第一歩である.特に,種数2の平面曲線族の3次ワイエルシュトラス点のモジュライ空間における分布の計算は今後の研究の雛形になるものである.
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今後の研究の推進方策 |
平面代数曲線の研究を推進する.特殊な平面曲線の族の高次ワイエルシュトラス点を考察する.最終目標は分岐点をr個持つ射影直線のp次巡回被覆曲線(pは素数)の族である.始めに,そのような平面曲線のゴナリティが決定できないかを検討する.次に,モジュライ空間の詳細な研究を推進する.モジュライ空間の詳細が理解できている族について高次ワイエルシュトラス点の研究を進める.研究対象としては,まず,3次被覆のピカール曲線の場合,5次の巡回被覆曲線などから始める.ピカール曲線の場合,いろいろなことは良く理解できているのであるが,高次ワイエルシュトラス点の計算にはまだ成功していないので,再チャレンジしたい
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次年度の研究費の使用計画 |
関連分野の最新の図書購入費,国内および海外の他の研究者との研究打ち合わせのための旅費を計上している.数式処理ソフトを購入して計算の迅速化を図る.また,ノートパソコンの更新を計画している.定期的にセミナーを開催し,情報交換や研究打ち合わせをする.
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