平面代数曲線のモジュライ空間の研究において重要な役割を果たす不変量であるゴナリティの研究が進展した。平面曲線のゴナリティが次数と特異点の最大重複度の差に一致するための判定法を改良した。特に、重複度が3の場合には最良の結果と思われる判定条件を得ている。現在、これらの結果を用いて、平面曲線の次数と特異点の最大次数を固定したときのゴナリティの取り得る範囲の研究を進めている。 射影直線の巡回被覆曲線のゴナリティによる分類について研究した。超楕円曲線(川崎真澄氏、王楠氏との共同研究)および、トリゴナル曲線(王楠氏の研究)の分類に成功した。証明にはセベリ・カステルヌオヴォの構造定理や上記のゴナリティ判定法および、巡回被覆の自己同型群の作用などを用いる。平成26年度には、これらの方法を援用して、4ゴナル曲線の研究を開始した。4ゴナルになる曲線のリストを求めることはできているので、それ以外には4ゴナル曲線がないということを作業仮説として研究中である。 平成26年度には下記の研究を実行した。1)平面曲線の族においてゴナリティが変化する例を作ることは一般には非常に難しい。ノード6次曲線の場合に、ゴナリティが3から2に変化する例を具体的に構成した。古典的に研究されてきたジャコビアン曲線の構成を用いた。2)射影直線の巡回被覆で4個の分岐点を持つ場合、例外を除いて、それらの分岐点はワイエルシュトラス点であるということを川崎真澄氏、王楠氏と共同で研究している。計算により、かなり多くの例については成立することを確認した。
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