研究概要 |
本研究課題の研究の目的は、高次元の商特異点の特異点解消に関する研究であり、主として以下の3点に注目している:1.高次元のクレパントな特異点解消の存在の問題を, 非可換代数幾何学を用いて考える. 2.商特異点の特異点解消の位相不変量とオービフォールド・コホモロジーの環構造について詳しく調べる.3.2次元マッカイ対応の一般化として近年盛んに研究されている導来圏同値からは得られない特異点解消の幾何学であった.このうち, 高次元のクレパントな特異点解消に関しては, 研究代表者の伊藤 由佳理は研究協力者のAlvaro Nolla de Celis氏と連携研究者の石井亮氏と共同研究し,クイバーの表現のモジュライ空間を用いた特異点解消の構成に成功した.研究分担者の伊山修氏は,Auslander-Reiten理論における古典的な事実として, 単純特異点と,対応するDynkin箙の道多元環の間に, 三角圏同値が存在することを踏まえ,Amiot, Reitenとの共同研究で, これを体系的な枠組みで捉えなおし, ある種のCalabi-Yau多元環とその巾等元に付随するGorenstein環と有限次元多元環の間の圏同値として, 大幅に一般化することが出来た.また,研究分担者の長尾健太郎氏は,モチーフ的Donaldson-Thomas 不変量及び団代数の研究を行った.(1) A.Morrison 氏, S.Mozgovoy 氏及びB.Szendroi 氏との共同研究において,ある種の3次元Calabi-Yau多様体に対して,モチーフ的Donaldson-Thomas 不変量の明示的公式を発見した.(2) 寺嶋郁二氏及び山崎雅人氏との共同研究において,クラスター代数と3 次元双曲幾何の新しい関係を発見した.
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