研究課題/領域番号 |
23540048
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
川崎 謙一郎 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (60288040)
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研究分担者 |
花木 良 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70549162)
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キーワード | 代数学 / 局所コホモロジー / 余有限複体 / 余有限加群 / 幾何学 / 組紐理論 / モノミアル |
研究概要 |
平成 24 年度は, 余有限複体についてその 超拡大 (hyper-ext) がいつ有限生成となるかその必要十分条件を与えることができた. 研究実績に記述した通り, 科学研究費助成による過去の成果論文 `On a category of cofinite modules which is Abelian' の付録 (addendum) であるが, 本科学研究費助成による成果である. 余有限複体の特徴付けについて結果が得られたので本年度の研究実績の概要として報告する. 研究論文として国際学会紙に掲載が決定している. 一方で, 平成 23 年度科学研究費助成事業 (学術研究助成基金助成金初年度) 交付申請書に記載した本研究の主な目的であった「局所コホモロジー加群の移入的次元はその台の次元 +1 を越えない」という結果に関する, 局所コホモロジー加群の移入的次元の精密化については今年度は進展がなかった. また, 平成 24 年度今後の研究の推進方策で記載した局所コホモロジー加群間の自己準同型環がネーター環になるかという問題についても進展がなかった. 今後の課題として本研究を進めていきたい. 平成 24 年度に本科学研究費研究課題に関して, 幾何学的視点から研究分担者を加えた. 研究実績に記載されたとおり, 本科学研究費により研究分担者が実績をあげ, 本研究に貢献している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくばくかではあるが進展があり, 概ね順調と自己評価できる. 以下の通り, 本研究途中経過的な内容であるが, 成果の発表をすることができたので記載する. 本研究は, 広い領域のコホモロジー理論からヒントを得ながら研究を遂行しているが, その過程の中で, 正則環上で余有限複体の特徴付けが得られた. 過去の成果の付録であるが, 本科学研究費助成の援助を得て, 得られた結果である. 下記の通り, 講演を行ったので報告をする. 研究集会「第86回米沢数学セミナー」日: 平成24年6月26日(火)~27日(水), 場所: 山形大学工学部, 講演題目:「余有限複体の特徴付けについて 」講演者: 川崎謙一郎 また, 本研究研究分担者が幾何学の視点から本科学研究費助成を得たその成果について公表している. あわせて報告をする. 研究集会「第86回米沢数学セミナー」日: 平成24年6月26日(火)~27日(水), 場所: 山形大学工学部, 講演題目:「結び目の影からわかる結び目の性質について」講演者: 花木良
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今後の研究の推進方策 |
本研究は, 広い領域のコホモロジー理論からヒントを得ながら, 余有限複体の特徴付けや局所コホモロジー加群間の自己準同型環に関する結果について研究を進めている. これは Lyubeznik 数との関連性や閉空間 V(I_d) の連結性と関連性がある. 研究内容の今後の研究推進の方向性として, 平成 24 年度終わりまでに得られた結果を含めて, これらを発展させることを考えて行きたい. また, 局所コホモロジー加群間の自己準同型環がいつネーター環になるかどうかという問題について, 今後その詳細を明らかにすることが期待されている. 正則性を外した条件下で, ネーター環でない反例を探しつつ, いつ局所コホモロジー加群間の自己準同型環がネーター環になるかという問題も視野にいれて具体例の計算も試みる予定である. さらに, 本研究期間において 1 次元のイデアルに関して, 余有限複体のコホモロジー加群が加群としていつ余有限となるかという問題もある. その研究の進展も期待したい. 平成25年 12月 2日 (月)から 6日 (金)まで, 京都数理解析研究所にて, 全国規模の研究集会「可換環論シンポジュウム」を他研究機関の研究者と共同開催する予定である. そこで, 多くの研究者を招聘して研究交流を計る. 内容的には本研究と一見関係ないと考えられる研究も自由な発想から新しい知見が獲られる可能性があるので積極的に講演を募集したい. また, 本研究集会で本研究に関して関連研究者と情報交換を画る予定である. 平成 24年度以降, 本研究に関わる幾何学的側面の研究の遂行および情報収集のため幾何学を専門とする花木良氏を研究分担者に加えた. 平成25年度も同氏を研究分担者として継続して本研究を遂行する.
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次年度の研究費の使用計画 |
以下, 使用計画を概算値にて記載する. 本年度は京都府にて全国規模の研究会を他研究機関の研究者と共同開催する予定である. 平成25年12月に, 京都数理解析研究所にて開催予定である. 概ね, 研究者招聘のためまたは本研究代表者・分担者出張のための旅費, 研究会報告集作成費に本科学研究費からの支出を予定している. 以下に, その経費を含め, 本年度本科学研究費の使用計画を概算値にて記載する. 論文/書類整理用の文房具や研究会報告集作成費など物品費として \100,000 を計上した. 平成25年1月30日(水)から2月2日(土)まで本科学研究費助成金にて研究集会「第 25 回 可換環論セミナー」を開催した. 報告集作成に関して, 全国の研究者へ配布のための経費を含めている. 平成25年度は定期的に国内の研究機関に出張する予定である. 9月以降に国外の研究期間に出張する予定であるが受け入れ先の状況も鑑みて現在検討中である. 現時点で Southeast Columbia (米国) における研究集会参加を考えている. 状況にあわせるが, 予算の範囲内で行動できるように目的を絞って出張をする. また, 未定であるが, 情報を収集するために国内外の研究者についても招聘する予定である. 以上をまとめて旅費を\1,046,912 計上している (昨年度繰越金を含む). 本研究代表者・分担者への情報提供のため, または研究集会開催運営のための謝金等として \50,000 を計上した. さらに学会参加費, 論文抜き刷り料として \50,000 を計上している. 足りない研究費は自費または別途予算を獲得した経費でまかなっていく予定である. 最後に, 研究分担者に \100,000 分担金として計上している. 上記の概算値はそれを含めている.
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