研究概要 |
本科学研究費助成金期間において, 本助成による成果は, おもに次の定理を得ることができたことである. 定理 1. A をネーター環, I を A のイデアルとする. M(A,I)cof を余有限加群の A-加群の圏の部分圏とし, その射を A-加群の準同型写像とする. このとき, もし I が単項イデアルであるならば, M(A,I)cof はアーベル圏である. さらに, 下に有界な複体 N・について導来圏に関した超拡張 (hyperext) の言葉用いて 6 つの同値条件を与えることができた. 導来圏上, N・についての超拡張がいつ有限生成になるかという問いに関する 1 つの解答を与えると考えられる (本研究代表者の後掲の論文内にある結果 (Claim 1) を参照). その結果, 次のように Hartshorne の結果 (Invent, 1970) を (特に条件 (b) を) 改良することができた. 定理 2 (Hartshorne). R を次元 d の正則環とし, J を R のイデアル, N・を下に有界な複体とする.さらに環 R は J-進位相で完備とする.このとき次は同値である. (i) N・は J-余有限である; (ii) (a) すべての N・のコホモロジー加群の台が V(J) に属し, かつ, (b) 複体 N・はある 6 つの同値条件 (Claim 1) を満たす.
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