研究課題/領域番号 |
23540049
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池畑 秀一 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20116429)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 平田分離拡大 / 分離拡大 / 歪多項式環 / G-Galois拡大 |
研究概要 |
非可換環の分離拡大の中で特に強い性質をもつ平田分離拡大を中心として各種の環拡大について総合的な研究をおこなうというのが研究目的である.体の分離拡大の拡張概念として分離代数が、そのまた拡張概念として非可換環の分離拡大が定義された.G-Galois拡大,平田分離拡大,強分離拡大等はいずれも分離拡大である.本研究の目的は大きく二つに分けられる.第一は歪多項式環のモニックな多項式で生成されるイデアルの剰余環として現れる環拡大が平田分離拡大をはじめとする各種の分離拡大となっている場合を詳細に調べる研究.もうひとつは平田分離拡大に関しての環の構造論的な立場からの一般的な研究である.本年度の成果としてまず次があげられる。歪多項式環におけるモニックな多項式が分離拡大や平田分離拡大となるための必要十分条件については、宮下庸一によって1979年の論文で得られているが、そこでの証明はそれほど簡単ではない。今回、大学院学生中山聡を指導する過程で、自己同型型および微分型ともに直接的で簡明な証明を得た。非常にわかりやすい証明なのでこの方面の研究者にとって有益であると思う。また永原賢による微分型歪多項式環における2次の各種の分離多項式の詳細な研究があるが、筆者はこの結果を素数次の多項式に拡張する試みをしているが、一部の結果については興味深い定理を得た。米国イリノイ州Bradley大学のGeorge Szeto教授とLianyong Xue教授は申請者と非常に近いテーマで多数の論文を執筆している.平成24年3月に20日弱ほどBradley大学を訪問し共同研究をしてきた。そこで係数環が非可換環のときの平田分離多項式に関する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非可換環の分離拡大や歪多項式環等についてすでに出版されている文献の分析するということに関しては、Bradley大学のGeorge Szeto教授とLianyong Xue教授の論文を詳細に検討中である。また本年3月に,米国まで出かけて行って一緒にセミナーをし共同研究をした.また研究を発展させるために,広く関連する分野の情報収集を行うため代数学,環論,表現論等の各種のシンポジウム,京都大学数理解析研究所等の研究集会に出席した.本年2月には歪多項式環における宮下庸一の定理の別証明について数理解析研究所での研究集会において講演した(大学院生の山中聡との共同発表).現在その結果を An alternative proof of Miyashita's theorem in a skew polynomial ring というタイトルの論文として執筆中である.
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今後の研究の推進方策 |
中国広東省広州市の中山大学のXiaolong, Jiang准教授は最近筆者の研究に非常に興味を示している。そこで共同研究のために本年6月末に一週間ほど国際会議を開催し招待された。そこにおいて米国Bradley大学のGeorge Szeto教授、筑波大学の増岡彰准教授等と連日セミナーを行い共同研究をする計画である.
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次年度の研究費の使用計画 |
3月には米国のBradley大学のSzeto教授を訪問し共同研究をおこなう.また、筆者は「環論および表現論シンポジウム」の世話人のひとりである.シンポジウムの運営のために筆者の研究費の一部(10万円程度)を使用するつもりである.
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