研究課題/領域番号 |
23540051
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大城 紀代市 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (90034727)
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研究分担者 |
馬場 良始 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10201724)
小池 寿俊 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (20225337)
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キーワード | 環論 / QF-環 / Faith 予想 |
研究概要 |
Carl Faith は 1967 年、彼の著書 ”Algebra II" で片側入射的半準素環は、quasi-Frobenius 環(QF-環)であるか?という問題を提起して、否定的に予想した。以来、この予想は Faith 予想と呼ばれている。多くの研究者がこの問題に挑戦するが、半世紀近く経ってもまったく進展が見られない難問中の難問であったが、最近研究代表者が、この問題を斜体上の両側ベクトル空間とその双対空間に関係する(学生でも理解できる)問題に翻訳して、ある重要な場合に解決した。この結果は、2011年韓国で行われた第6回 China-Japan-Korea 環論国際研究集会で発表し、2012年、その報告集に掲載された。 2012 年 9 月、オハイオ大学、オハイオ州立大学を訪問し、両大学のサマーセミナーでも、この研究成果とその周辺のハミルトン4元数環についての講演を行った。 研究協力者の菊政、吉村との共同研究 " A construction of local QF-rings and its generarization" が 2012 年にCommunication in Algebra に掲載された。この成果もFaith 予想に関連する重要な研究結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績で述べたように、これまでの研究は、Faith 予想に関する大きな進展となる結果であり、Faith を始め、国内外の多くの研究者の関心を集めている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もFaithの問題を肯定的方向で、したがって Faith の予想を否定的方向で研究を進める。そのために、斜体上の両側ベクトル空間とその片側双対空間の間の同型写像の研究を行う。この視点での両側ベクトル空間の研究は、Faith 予想とは別に、基礎的で萌芽的研究となるものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)平成25年6月11-17日オハイオ州立大学の Gangyong Lee 特別研究員と筑波大学の古賀寛尚特別研究員を招き、Faith 予想とその周辺についての共同研究を行う。基金の一部をその旅費の補助に充てる (2)日本数学界、代数学シンポジウム、環論及び表現論研究集会などへの出席 (3)研究打合わせ(筑波大学、大阪教育大学訪問)旅費 基金の大半はこれらの旅費に充てる。 (4)都合(外国出張などの理由)により、学会(環論及び表現論研究集会)への出席が出来なかったため、148,720円の繰越金が生じた。この繰越金は、上記(1)に述べた2人の研究者の招聘の旅費の一部に使用する。
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