研究課題/領域番号 |
23540062
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (20433310)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | トーリック多様体 / 森理論 / ファノ多様体 / 高次サイクル |
研究概要 |
本年度は,主に,滑らかな射影的トーリック多様体上の高次サイクルを扇の言葉を使い,組み合わせ論的に表す方法の研究を進めた.この研究は,それまでに行われていた,滑らかな射影的トーリック多様体上の曲面に対する研究の高次サイクルへの一般化である. 滑らかな射影的トーリック多様体の部分多様体が射影空間と同型の場合,即ちピカール数が1の場合は曲面の場合と同様になることが分かる.ピカール数が2以上の場合が本年度の対象である.まずピカール数が2の場合であるが,この場合,部分多様体は射影空間上の射影空間束になることが知られている.本研究では,まずはピカール数が2の滑らかな射影的トーリック多様体の,自分自身を部分多様体と思ったときの数値的同値類の組み合わせ論的な表現を研究した.曲面の場合の研究からの考察により,この場合から一般の場合が導かれるのが予想される.結果として,複雑な式ではあるが,トーラス不変な因子の交点数を係数に持つような多項式を,所謂原始的関係を用いて表すことに成功した.即ち,状況は曲面の場合と同様であることが分かった.この研究により,ピカール数が2の滑らかな射影的トーリック多様体上の交点数の計算が,原始的関係から簡明に求めることが出来るようになったと言える. 次に,部分多様体としてピカール数が2の滑らかな射影的トーリック多様体が入っている場合であるが,曲線の場合と同じく,正規束等の計算により,先の場合から公式が得られることが分かった.この手法は,曲面の場合の研究時には発見されなかったものであり,奇麗に一般化が出来たと言える. 尚,本年度の研究で得た結果は,現在論文作成中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と順番は変わっているが,高次のサイクルの数値的同値類を組み合わせ論的に表す方法を確立する部分についてはかなりの進歩があったと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
去年度出来なかった,トーリック多様体上のベクトル束の研究に着手する予定である.階数2のベクトル束に限らず,最初から高次のサイクルに対する理論を確立するために研究を行う.去年度の研究により,具体的な例を計算する手段が増えたので,見通し良く研究が進むと思われる.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,それまでの研究を基盤として,それらを更に発展させる研究を行ったため,研究費の消費は少なく抑えられた.次年度はベクトル束等の高度な知識を必要とするため,専門家を交えた情報収集,研究を数多く行う必要があり,本年度の研究費,次年度の研究費を合算して有効に使う必要がある.また,場合によっては研究集会を開催し,活発な情報交換を行う予定である.
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