研究概要 |
本研究課題では、ストリング絡み目の集合に対しCn-コボルダントという新たな同値関係を導入し、その分類問題を研究する。特に、以下の予想の解決を目標として研究を進める。[予想]各成分が自明なストリング絡み目がCn-コボルダント同値である為の必要十分条件は、長さn+1以下のミルナー不変量が一致することである。 ここで「各成分が自明」という条件は、主張を簡易化するための条件であり、本質的ではない。実際この予想が肯定的に解決できれば、この条件が無い場合の分類も得られる事がわかっている。ストリング絡み目の Cn-コボルダント分類は、一般にnが大きくなるほど、分類が細かくなり、問題が飛躍的に難しくなることも知られている。研究代表者とMeilhanの共同研究によって、nが6以下の場合は解決済みなので、nが7以上の場合を研究すれば十分であることがわかる。上述の予想を肯定的に解決することが理想であるが、まずは未解決でかつ1番やさしいところから取り掛かる事にする。予想は2種類の変数を含んでいる。一方は、Cn-コボルダントの「n」であり、他方はストリング絡み目の成分数(これを「m」とする)である。これまでの研究により、(m,n)=(1,任意のn)、(m,6以下のn)の場合は解決済みなので、これに続くのは(m,n)=(2,7)の場合である。本年度は、(2,7),(2,8)の場合に限定し研究を行い、次の結果を得た。 [定理]2成分のストリング絡み目がCn-コボルダントである為の必要十分条件は、位数n-1以下の有限型コボルディズム不変量が一致することである。 有限型コボルディズム不変量とミルナー不変量は、ある種の条件下では一致することが知られているので、この結果は、本年度の目標と極めて近い結果であると言える。
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