研究課題/領域番号 |
23540076
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
森藤 孝之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90334466)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 結び目群 / 指標代数多様体 / ねじれアレキサンダー不変量 |
研究概要 |
本研究の目的は,結び目群の指標代数多様体とその上の関数であるねじれアレキサンダー不変量の情報を用いて,結び目およびその外部空間の幾何学的性質を,ある種の「有限性」で捉える枠組みを与えることである.より具体的には,結び目群のSL(2,C)-指標代数多様体の適当な複素1次元既約成分(代数曲線)と,結び目のファイバー性(あるいは種数)を特徴づける代数曲線との交差数を考察し,それら交差数の有限性によって,結び目のファイバー性(あるいは種数)を決定する手法を開発することを目標とする.大別すると,次の2点を明らかにすることが目標となる.(1) SL(2,C)-指標代数多様体上の関数としてのねじれアレキサンダー不変量の明示公式を与える.(2) 得られた関数の性質と結び目のファイバー性および種数との関係を明らかにする. 上述の研究目的に対し,本年度は(1)に焦点を絞り,特に,3次元球面内の2橋結び目とよばれる性質のよい結び目のクラスに対して主として研究を行った.実際,2橋結び目は「小さい結び目」と呼ばれる結び目の一種で,そのSL(2,C)-指標代数多様体の次元が1であることが知られている.この状況下で,当初の目標であったねじれアレキサンダー不変量の明示公式は得られなかったものの,指標代数多様体のある既約成分上で,結び目のファイバー性に対応した指標の個数の有限性を示すことができた.この結果,2橋結び目のファイバー性をねじれアレキサンダー不変量の情報で特徴づけることに成功した.また,同時に,この既約成分上の情報から,2橋結び目の結び目種数が決定できることもわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結び目理論における「2橋結び目」の位置づけは極めて重要で,これに対して研究目的がおおむね達成できたことは,さらなる一般化に向けて,よい指針を与えるものと考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にして,次年度は前項の2つの具体的目標のうち,(1)と(2)の橋渡しに係る部分に焦点を絞って研究を行うことにする.より具体的には,2橋結び目の指標代数多様体上の関数としてのねじれアレキサンダー不変量の明示公式ならびに基本的性質を明らかにすること,特に,ファイバー性と結び目種数に関する幾何学的情報がどのような仕組みで抽出できるかを見極めることが課題となる.また,前年度の成果から,有限性が保証されている指標の個数の具体的評価も,重要な課題として挙げられる.
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次年度の研究費の使用計画 |
年度当初に計画していた最終的な研究成果が得られなかったため,指標代数多様体の専門家であるフランス・トゥールーズ大学のMichel Boileau教授によるレビューをとりやめた.次年度は,これにより生じた研究費(418,380円)と合わせた1,318,380円の研究費を有効活用して,研究計画を遂行する. 上述の研究の推進方策を実行するにあたり,関西地区の専門家から専門知識の提供を受けるための国内出張旅費,最新の研究動向を調査するための外国出張旅費ならびにフランス・トゥールーズへの外国出張旅費として 900,000円を計上する.また,専門書籍等購入のための物品費200,000円,本学に専門家を招いて専門知識の提供を受けるための謝金として150,000円を計上する.
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