研究課題/領域番号 |
23540077
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
関口 次郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30117717)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自由因子 / 一意化方程式 / 孤立特異点 |
研究概要 |
自由因子は一般のn次元空間で定義できるが、主に3次元アフィン空間の場合を研究対象にしている。自由因子の幾何学的な側面に注目した研究は多数あるが、解析的側面、主に微分方程式に着目いた研究はあまりない。この点に本研究の意義がある。3次元空間の自由因子の構成法についてはこれまでに効果的な方法を開発している。その方法は2次元曲線の孤立特異点の1次元パラメータをもつ変形族の全空間として3次元空間の自由因子を理解するというアイデアに基づいている。この観点から興味ある自由因子が構成できる。典型的なものは実または複素鏡映群の判別式の零点集合である。23年度の研究の目標は、主にこれらの自由因子に沿って特異点をもつ微分方程式の構成とその解を調べることであった。上述の判別式の場合には連携研究者である加藤満生琉球大教授と一意化方程式の構成を試み分類した。さらに、すでに分類している例外型単純特異点に関係する17種類の自由因子やアーノルドの14種類の例外孤立特異点と関係した自由因子の場合に一意化方程式とは異なる階数2の微分方程式に着目してそれらの構成、分類を試みた。また4次元の場合、階数4の鏡映群に沿って特異点をもつ一意化方程式の例を求め、また特別な場合に解を構成した。これらの成果について、イギリスのWarwick大学、オーストリアのウィーン大学、トルコのイスタンブールのガラタサライ大学の研究集会等で講演し、またこれらの機会に研究対象を同じくする海外研究者との議論を通して成果をさらに進展させる方向性を見いだせた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由因子に沿って特異点をもつ微分方程式を構成することは、視点を変えると可積分系を扱うことになる。したがって本研究から派生する話題として可積分系の自明でない例をたくさん構成したことになる。それ自体も興味ある研究対象であるが、可積分系への応用も期待できる。特にパンルベ方程式の代数函数解とのつながりが見えてきたので、今後の進展がたのしみになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
自由因子に沿って特異点を持つ微分方程式を構成することが引き続き研究の中心課題のひとつである。これまで3次元アフィン空間の場合を主に扱ってきたが、4次元の鏡映群の判別式の零点集合の場合に一意化方程式を構成することも研究テーマに含める。一方では3次元の場合、2階の微分方程式とパンルベ方程式の代数函数解との結びつきがわかってきたので、連携研究者の加藤満生琉球大教授、原岡喜重熊本大教授などとの議論して、より深いつながりを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで、ロシアのアレクサンドロフ教授やトルコの田辺晋教授と研究上の交流を続けてきたので、彼らを日本に招待して、東京農工大学で研究集会を開催する。この機会にこれまでに交流のあった国内の研究者も参加していただくように呼びかける。特にアレクサンドロフ教授には20日から1ケ月程度東京に滞在してもらい共同研究を進める。これらの事業の一部に研究費を使用する。必要ならば、25年度の予算額を一部前倒しして研究集会参加者の旅費に充てることも計画している。
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