本年度は平成23年度から3年間の本研究の最終年度であり,これまでの研究の集大成と整理することがひとつの目標であった。またこれからの新たな研究を展開させるための準備的な問題にも取り組んだ。自由因子に沿って特異点を持つ積分可能な接続,一意化方程式とその類似となるホロノミック系を構成する問題,パンルベVI方程式の代数関数解との関係を調べることなどについていくつかの成果を得た。中でも,自由因子とパンルベVI方程式の代数関数解との間に関連性があることは新たな知見である。この関連性の背景を解明することは今後の研究の指針になる。 成果の一つは,これまでの研究で得られた知見を論文にまとめたことである。階数3の複素鏡映群の判別式に沿って特異点を持つ一意化方程式の分類を論文としてKyushu Journal of Mathematicsに発表した(琉球大学の加藤満生教授との共著)。また,4次元アフィン空間の自由因子の例とそれらに沿って特異点をもつ一意化方程式の例を論文にまとめた。さらに,以前に研究代表者が得ていた3次元アフィン空間の自由因子に沿って特異点をもつ一意化方程式の類似である階数2のホロノミック系を構成し,それらの解を調べた成果を論文にまとめた。これらのふたつの研究結果はJARCS4の報告集に発表した。 成果の二つ目は,以上の成果の進展として,一意化方程式の階数2の類似であるホロノミック系とパンルベVIの代数関数解との関係を詳しく調べいくつかの知見を得たことである。この成果については,2014年9月にシドニーで開催されたJARCS5と同年11月にイスタンブールで開催されたシンポジウムにおいて講演した。 成果の三つ目は,自由因子と概Belyi関数との関係の発見である。
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