今年度は、まず、四元数射影空間内の超極小部分多様体の構成に関する研究を行った。これに関しては,D. Alekseevskyらによる局所的な表示が得られている。本研究では、研究代表者の長谷川と分担者の守屋で議論を重ね、多重超共形写像という写像の概念を導入することで、超極小より広いクラスのツイスター正則な部分多様体を記述することが可能であることが分かった。この多重超共形写像がいかなる性質をもつときに、超極小となるかを考えることでその構成が可能であると考えているが、まだ実現に至っていないので今後の課題としたい。 また、四元数ケーラー多様体内のツイスターリフトが調和切断となる部分多様体の研究に取り組んだ。これは、研究代表者が過去に4次元多様体内の曲面の場合に研究を行ってきたものの一般化にあたる。部分多様体の次元が2、すなわち曲面の場合には、ツイスター正則な曲面のツイスターリフトが調和切断になるなどの結果を得た。これは、Leschkeらによって得られている事実の一般化ともとれる。同時に、ここでの手法を参考に、ツイスターリフトが正則となるアファインはめ込みに関していくつかの結果を得た。 研究分担者の守屋は、共同研究者のLeschkeとともに、極小曲面のドレッシングに関して研究を行った。ドレッシングは平坦接続の族を構成するひとつ手法をさすが、そのなかでシンプルファクタードレッシングに関して研究を進め、いくつかの結果を得た。
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