研究実績の概要 |
本研究課題の申請時には10の課題を挙げた。その内理論面の課題が5, 応用面の課題が5であったが, 理論面での課題は既に前年度までで解決済みである。応用面の5つの課題の内, 平成26年度は, 球面の配置空間への応用と離散モース理論との関係について主に研究した。 まず, 球面の配置空間については, 前年度までに開発した理論では不十分であることが判明したので, 新しいアイデアを導入する必要があった。そこで, フランスのパリ第7大学からRicardo Andrade氏を招聘し, 配置空間のホモトピー型の研究手法について議論した。Andrade氏は, 申請者とは異なる独自の方法で配置空間を研究している研究者であり, 球面の配置空間にも興味を持っていることが分っていた。その結果, 球面の配置空間については, 申請者とAndrade氏の予想する結果が一致することが判明した。そこで, 申請者がRudyak氏, Gonzalez氏と行なってきた球面の配置空間の研究プロジェクトにAndrade氏にも参加してもらい, 共同研究を始めた。そして, 議論の結果, 球面の配置空間のホモトピー型を完全に決定することに成功した。この結果については, 現在論文を執筆中である。 離散モース理論については, 信州大学の田中康平氏とペンシルベニア大学のVidit Nanda氏との共同研究である。田中氏の研究により, 可微分多様体の上のMorse-Smale関数については, そこから得られる胞体分割から, 前年度までの研究により構成されるface categoryとCohen-Jones-Segalの理論により得られるtopological categoryが一致することが分かっている。その離散版を田中氏とNanda氏との共同研究により得ることに成功した。この結果についても, 論文としてまとめているところである。
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