研究課題/領域番号 |
23540092
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮澤 康行 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60263761)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 結び目 / 多項式不変量 |
研究概要 |
今年度は別項に記載のように論文2編,学会発表2件の研究成果発表を行った。論文「Gordian distance and polynomial invariants」では,公差交換という結び目の正則表示に対する局所的な変形を用いて,結び目同士の間に導入された距離に関し,HOMFLY多項式,Jones多項式,Q多項式という良く知られた3つの結び目の多項式不変量を利用した評価式を与えた。さらに,その評価式に基づいて数多くの結び目の組の間の距離を具体的に決定した。この結果は,距離が導入された結び目集合の作る空間の幾何構造の解明につながる役割を果たすものであり,それゆえ大いに意義のあるものである。論文「A distance for diagram of a knot」では,任意の結び目の正則表示の集合に対し,Reidemeister moveと呼ばれる結び目の型を変えない局所変形を用いて,正則表示の間に距離を導入,その性質を調べることによって,正則表示が形成する空間の構造に言及した。さらに,その構造を利用して結び目の新しい不変量を定義,それを考察することで不変量についていくつかの特徴を見出した。口頭発表2件のうち1件は国際会議における招待講演であり,発表内容はいずれも結び目のHOMFLY多項式の実現問題に関するものであった。HOMFLY多項式の構造を精査し,変数の次数に着目することで,実現問題についていくつかの事実を突き止めるとともに,実際に具体的に許容される多項式の値を少なからず決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究課題は研究組織が代表者1名よりなる体制のもと研究を遂行しているが,代表者が所属機関の特別な委員等研究以外の業務に忙殺され,研究に充てられる時間が当初の予定より大幅に減少し,研究の進展にわずかながら影響が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
前項「現在までの達成度」での自己評価で計画にわずかに遅れが生じていると述べたが,今年度以降は遅れの要因となっていた事由が解消されるため,多少研究計画を変更する必要性はあるが,基本的には当初の予定通り研究を進めていくことで十分な結果が得られると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が所属期間の委員等業務のため,当初予定していた通りに研究集会等学術会議に参加することが出来ず,研究遂行上,特に研究交流と資料収集に支障をきたし,研究費に残額が生じた。そのため,今後2年間の申請予定額を修正し,当初の計画に加えて,活発な研究交流と資料収集に向けて旅費等で残額の有効活用を行う予定である。
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