研究課題/領域番号 |
23540094
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
下村 克己 高知大学, 自然科学系, 教授 (30206247)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 安定ホモトピー論 / 位相幾何学 / 彩色理論 |
研究概要 |
2011年度には素数3での彩色理論のn=2の場合に関係するE(2)-局所化スペクトラムのなす安定ホモトピー圏のピカール群の決定が主要な結果であり、研究目的のn=2での彩色理論の一つの重要な結果を得ることが出来た。この結果は論文にまとめ投稿し、査読中である。さらに球面のホモトピー群にも関係しており、特に、n=2の場合は球面のホモトピー群のβ族に密接に結びついている。このβ族に関しても、1980年代の岡七郎の結果を拡張することが出来た。この結果も現在査読中である。これらの結果は彩色分割予想に直接は結び付かないが関連した重要な結果であり、この手法の有効性を示している。さらに、研究実施計画にあるように、コンピュータソフトにより、簡単な計算を行うことが出来た。実際に使ってみて、このような計算が、彩色予想に必要な計算にはそれほど有効でないことが分かった。コンピュータは基本的な計算結果のチェックぐらいにしか使えず、更なるアイデアを導くほどの効果はないと確信できた。旅費は報告者が自宅を離れられないため、学会での発表は共同研究者に任せ、そのために使い、さらに参加したい学会には大学院生を参加させ報告を受けた。また、年末に、高知でホモトピー論の研究集会を開いて安定ホモトピー論の研究者に来てもらい、研究課題に関する話題について情報を交換することが出来た。以上のことで、研究に十分ではないが時間を使うことができ、それなりの成果をあげることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
素数3で、n=2 の場合にE(2)-局所化スペクトラムのなす安定ホモトピー圏のピカール群の決定を行うなど、十分な足がかりを得て、この手法で進めることが可能と判断できた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度が予定通りに進んだので今後も研究実施計画にあるように、以下のように行う。n=2のとき、p=3の場合の考察を初年度の試験的な結果をもとに進め、さらにp=2の場合やnが大きい場合も視野に入れて予想が成立するかどうかを見極める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の計画に基づく経費執行について、4月に支払うべき経費が残っているため、次年度使用額が存在するように見えるが、実際には、全額を執行予定である。そのため、次年度の研究は、下記のように当初の計画通り進める予定である。コンピュータは主に資料整理のために用いる。そのために、コンピュータ関連の機器や消耗品は研究結果、計算結果、研究資料などを有効に活用するため用いる。さらに旅費や謝金などは初年度と同じように申請者の研究時間を確保することを目的に、研究の継続のために用いる。
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