研究課題/領域番号 |
23540094
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
下村 克己 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (30206247)
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キーワード | 安定ホモトピー論 / 位相幾何学 / 彩色理論 |
研究概要 |
2012年度の主たる結果は球面のホモトピー群のβ族に関するものである。これは彩色理論のn=2の場合に密接に結びついている。実際v_2周期元でn=2の場合の単色現象を反映している。今のところ実際に存在するβ元については候補者は分かっているが、そのうちどれが実際のものかはそれほど分かっていない。この結果は、1980年代の岡七郎の結果を見直し、更に今まで研究していた独自の方法を組み合わせて拡張したもので、予想されている結果にかなり近づけている。最終確認も終わり論文として受理された。また、2011年度まとめた素数3での彩色理論のn=2の場合に関係するE(2)-局所化スペクトラムのなす安定ホモトピー圏のピカール群の決定に関してはその証明にギャップがあることが分かり、2012年度はそのギャップを埋めて投稿し、現在査読中である。更に2011年度の実施状況報告書で述べた今後の研究の推進方策については、素数3でn=2の場合の目的の予想に関して、さまざまな計算を通してかなり進展している。さまざまな計算のうちのひとつの応用として素数3でn=2の場合のある2型スペクトラムのピカール群を次数とするホモトピー群の加法構造決定した。現在は、この群のなす環構造を考察中である。この環構造の決定問題に現れるいろいろな関係式が、予想の証明に応用可能である。素数2の場合など一般の場合についてはまだ考察を始めていないが素数3以上でのいろいろな現象が明らかになってきており、先に、そちらをまとめようとしている現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
素数3でn=2の場合のE(2)-局所化スペクトラムの安定ホモトピー圏のピカール群の決定や、2型有限スペクトラムのピカール群次元のホモトピー群の決定などにより、必要な計算道具や必要な理論構築などが準備できているが、結果の確認に時間がとられており、更に、素数3でn=2の場合が当初の想定より遥かに豊富な構造を持っていることに気づいた。今後はこの構造をもっと深く検証していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
素数3でn=2の場合のE(2)-局所化された圏での彩色予想はこの圏の豊富な構造を解析して行き、この事実を表現する結果を導き出す。現在進行中の決定した2型有限スペクトラムのピカール群次元のホモトピー群の環構造を解析するなどの研究過程で彩色予想とゼータ予想の成立のための具体的な要素を決定できる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究は、下記のように当初の計画通り進める予定である。 コンピュータは主に計算用紙代わりに用いる。これらの計算結果などの資料整理や資料収集のためにも用いる。そのために、コンピュータ関連の機器や消耗品は研究結果、計算結果、研究資料などを有効に活用するため用いる。さらに旅費や謝金などは初年度と同じように申請者の研究時間を確保することを目的に、研究の継続のために用いる。
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