研究課題/領域番号 |
23540099
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宮嶋 公夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (40107850)
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研究分担者 |
與倉 昭治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (60182680)
愛甲 正 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (00192831)
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (00325763)
赤堀 隆夫 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (40117560)
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キーワード | CR構造 / モジュライ / 変形 / 特異点 |
研究概要 |
本研究は、孤立特異点の変形を境界構造の変形を通じて把握することを特徴としており,これまでに確立している一般的枠組みの下で,特異点の個別性に基づいた詳細なモジュライ空間の構造を捉えることを目的としている. 次の(i)-(iii)を基本課題とした.(i)トーリック特異点のモジュライ空間を境界CR構造の変形によって記述すること.(ii)トーリック特異点の特異点解消の変形空間を境界CR構造の変形によって記述すること.(iii)巡回商特異点のArtin変形空間の持つM.Hamm-O.Riemenschneider双対性を境界CR構造によって記述すること. H24年度は,次の研究を行った. (i)に関しては;トーリック特異点の最も典型的な場合である cone 特異点の場合に,非特異部分の複素構造の変形空間内には,複素 Cartan formula から得られる unobstruced な方向があることが A. Harris-K. Kollar によって発見されている.この現象の一般化を目指し,一つの十分条件を求めた.(A. Harris 教授との共著論文として投稿中.)(iii) に関して;A(n,1) 特異点と A(n,n-1) 特異点の変形の間に存在する Hamm-Riemenschneider 双対性を司ると思われるA(n,1)とA(n,n-1)を含む部分的コンパクト化とその変形についての検証を進めた.(研究継続中.)また,赤堀隆夫は,CR多様体に関する山辺の問題について,従来の”固定されたCR構造の下で”定数スカラー曲率を持つ接触構造を求めるという設定を,”接触構造を固定して”CR構造を求める形へ移し,ハミルトン流によるCR構造の変形について考察した.その結果,接触構造のモジュライ空間とCR構造のモジュライ空間の間にはある種の双対性が期待できることが明らかになった.(論文投稿中.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の特徴は,代数幾何的観点から論じられて来た孤立特異点のモジュライ空間を境界CR構造の変形によって表現するというところにある. 特に,トーリック特異点に関する代数幾何的観点からの研究を正確に把握し,CR構造変形の視点を組み込む事が中心になる. その際に,錐特異点や巡回商特異点の変形はその典型例としての意味を持つ. H24年度の研究では,(1)錐特異点や巡回商特異点の変形空間の構造について,非特異部分の変形や境界CR構造の変形の視点から解析をすすめ,一つの現象のしくみが明らかになった.(2)Hamm-Riemenschneider 双対性の検討を進め,”部分的コンパクト化”の解析という一つの指針を得る事ができた.
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今後の研究の推進方策 |
目標は,課題(i),(ii),(iii)を念頭に置きながら,A(n,1)特異点の変形の場合に顕著に現れている現象の考察を一般化することである. そのための方策として, (1)孤立特異点の変形に関して多方面からのアイデアを取り込むために,実シンプレクティック幾何や実接触幾何との関連に重点をおいて研究を進める.そのために「接触構造研究会」と連携を取りながら研究をすすめ,「East Asian Symplectic Conference 2013 in Kagoshima」の開催に協力する.また,CR構造をテーマの一つとしている「日豪特異点シンポジウム」や「多変数関数論グループ」とも連携を取りながら研究を進める. (2)課題(iii)をトーリック特異点の変形の観点と境界構造の変形の両面からの研究を進めるために,O. Riemenschneider 教授と連携を取りながら研究を進める. (3)モジュライ空間構成に関する倉西の方法は,位相幾何・代数幾何・シンプレクティック幾何・接触幾何・CR幾何・複素幾何に共通する一般性を持った方法である.倉西の方法の検討・改良を引き続き検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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