研究概要 |
連続関数族の拡張作用素の研究において、関数族の終域としてどのような空間を設定するかという問題は基本的かつ本質的なものである。特に、バナッハ空間とは限らない(完備性を備えない)空間に関しては、連続選択理論等の応用が難しいこともあり、これまでの研究報告は少ない状態である。実際、実数値連続関数がもつ自然な性質をどのように取り出し一般化することが適当かといった枠組みの構築自体も課題となっていた。 昨年度, 位相空間の単調パラコンパクト性を、順序線形位相空間を終域とする関数族を用いて特徴づけた。その過程で得られた手法は、終域の順序構造が全順序から半順序に一般化されることにより生じる難点を回避できることが期待できるものであった。本年度は, この手法を用いて、Katetov-Tongの内挿定理を一般化することを試みた。Katetov-Tong の内挿定理とは, 位相空間X上の上半連続実数値関数fとf以上にあるX上の下半連続実数値関数gの組(f,g)に対し, 連続実数値関数hをこれらの関数間に挿入できるということが, 定義域Xの正規性と同値であるというものである。この定理は拡張定理の一般化として位置づけられ、広い応用が期待できるものである。本年度、Katetov-Tongの内挿定理について、関数の終域を「実数値全体の集合」から「ある種の位相リース空間」に設定し、上述の手法を用いることで同様な結果を得ることができた。来年度以降、終域の位相構造・束構造の関連に着目し、得られた結果の改良を試みたい。
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