本年度は、終域を半順序集合とするような Dowker-Katetov タイプの内挿理論の研究を行った。領域理論等で基本的な概念である way-below 関係を用いて、終域をベクトル空間とは限らない半順序集合に拡大する以下の結果を与えた。
定理:パラコンパクトハウスドルフ空間から両有界完備、両連続、弧状連結な位相半順序集合への下に有界な上半連続写像と下半連続写像のペアが各点で内挿性をもつとき、これらの半連続写像間に連続写像を内挿できる。ここで、内挿性とは、下から way-above関係で上から way-below関係での内挿を指す。
終域がベクトル空間とは限らない内挿定理の研究は、これまでハリネズミ空間をモデルとするような有界完備な順序の入った位相空間に対し行われてきたが、本研究はこれらの先行研究を一般化するものである。特に、半順序空間には一般には上下方向の対称性が無いためにベクトル空間のもつ手法を用いることができないが、way-below 関係と way-above 関係を併用することで Dowker-Katetov タイプの内挿定理を与えることができた。内挿定理は特別な場合には拡張定理を導くため、特に終域がベクトル空間の範疇を超えることができたことは、本研究課題の目指す拡張作用素を与える手法といえるものである。以上の研究成果を学術論文としてまとめ、12月に筑波大学で行われたジェネラルトポロジーシンポジウムにて発表した。
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