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2011 年度 実施状況報告書

曲面の特異平坦計量によるタイヒミュラー空間と位相的力学系

研究課題

研究課題/領域番号 23540103
研究機関城西大学

研究代表者

高山 晴子  城西大学, 理学部, 准教授 (90274430)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2016-03-31
キーワードタイヒミュラー空間 / 錐状特異点 / 平面多角形
研究概要

タイヒミュラー空間の幾何構造について、点付きリーマン面のモジュライ空間が、曲面のGauss-Bonnet公式をみたす任意の錐角をもつ錐状特異点付きユークリッド計量のモジュライ空間と同一視できるというTroyanovの結果を用いた研究を行った。射影幾何学において古典的に知られている、射影直線上の3点は任意の位置に射影変換で移すことができるという命題は、ユークリッド幾何学において、3つの角度を定めた三角形の相似類は一意的に決まるという初等的命題と同値であるということは、このTroyanovの結果を象徴する初等的事実である。このような射影幾何学とユークリッド幾何学をリンクさせる研究は、曲面の等角構造を双曲構造と関連付けて行われる多くの重要な研究に比べてまだまだ未開拓である。また、タイヒミュラー空間には様々な計量が知られているが、その内代表的なものに曲面の等角構造を用いたタイヒミュラー計量、曲面の双曲構造を用いたWeil-Peterson計量がある。これらは、タイヒミュラー計量は完備であるがリーマン計量でなく、Weil-Peterson計量はリーマン計量であるが完備でない、などタイヒミュラー空間の性質をより満足に表現する計量が求められている。本研究では、曲面上の錐状特異点付き平坦構造をもちいたタイヒミュラー空間の計量の構成を目指し、本年度は超楕円曲線のタイヒミュラー空間について、曲面の錐状特異点付きユークリッド計量が平面多角形でパラメタ付けされ、その上の面積形式の符号が(m,m)タイプであることを示すことにより、曲面の錐状特異点付きユークリッド計量のモジュライ空間上に、(m,m)タイプのエルミート形式から誘導されるリーマン計量の存在を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タイヒミュラー空間の幾何構造について、リーマン面の中でも重要な超楕円曲線がなすモジュライ空間上の幾何構造を得ることは基本的であり、計画の第一にあった。超楕円曲線の錐状特異点付きユークリッド構造を、超楕円対合で割って得られる複素射影直線上の錐状特異点付きユークリッド構造に還元し、その展開写像によってえられるユークリッド多角形がこの計量のパラメタになっていることを示すことができたことから、他のタイプのリーマン面についても組合せ構造を考察することによって同様なユークリッド多角形によるパラメタ付けを行うことができることが期待される。その結果、超楕円曲線の場合を参考にして面積形式の符号が得られると考えられる。

今後の研究の推進方策

超楕円曲線のタイヒミュラー空間上に得られた計量の性質を調べ、特に既知の計量との比較を行う。また、超楕円曲線以外のリーマン面に関して、正則2次微分を用いた組み合わせ構造に基づき、同様の平面多角形のモジュライ空間によるパラメタ付けについて考察する。これらのことを、連携研究者およびタイヒミュラー空間の専門家達との密な連絡を取り合い、主要な研究集会に出席することで、常に最新の情報を得ながら行う。また、書籍は必要と予算に応じて揃えるようにする。論文執筆に必要なコンピュータ環境を整え、図などのピクチャーソフトも適宜揃える。

次年度の研究費の使用計画

当初研究集会(12月、京都大学数理解析研究所)に出席して、タイヒミュラー空間の専門家達との議論および情報交換を予定していたが、諸事情により出席できなくなったため旅費に余剰が生じた。次年度は、連携研究者達との研究連絡および他の研究集会出席のための旅費として用いる計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A parametrization of Teichmuller space by polygons2011

    • 著者名/発表者名
      Haruko Nishi
    • 学会等名
      NACA2011
    • 発表場所
      Pukyong National University
    • 年月日
      2011 – 0803

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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