研究課題/領域番号 |
23540106
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
|
研究分担者 |
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (30268974)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 葉層構造 / 接触トポロジー / Thurston の不等式 |
研究概要 |
3次元開多様体の完全積分可能なベクトル場の積分曲線の定める1次元葉層構造はユークリッド平面への沈め込みの逆像達によって与えられる.このような葉層構造について,申請者による以前の結果の不備を補う以下の結果を得た:与えられた向き付けられた結び目を一点の逆像とするようなユークリッド平面への沈め込みが存在する為の必要十分条件は,その結び目の定める1次元ホモロジー類が無限チェインホモロジー類として消えていて,かつ通常の mod 2 係数ホモロジー類として非自明である事である. 3次元開多様体の場合には2次元葉層構造を制御する為にその法方向に強い制限を課す事が考えられるが,その候補として完全積分可能なベクトル場の積分曲線達による葉層が考えられる.この場合そのような1次元葉層に横断的な2次元葉層構造は Reeb 成分を持ち得ず,従って Thurston の不等式を満たす.そこで,問題となるのは与えられたユークリッド平面への沈め込みに対して,その逆像達の定める1次元葉層構造に横断的な2次元葉層構造の存在である.この問題については未だ満足のいく結果が得られているわけではないが,例えば所謂「まっすぐな」沈め込み (straight submersion) についてはそれを3次元ユークリッド空間から2次元ユークリッド平面への標準的な射影として実現するように3次元ユークリッド空間へはめ込むことが可能であると期待される.従って,まずその主張を証明することが現在の第一の目標である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必ずしも計画通りの研究経過による成果が得られているわけではないが,いままでの研究方向とは異なった方向からの新たな対象についての課題を見出し,その方向から新たな対象に対する結果が得られる見通しが得られている.その意味で,今後は計画してきた研究方法はもとより,より広がった対象,見地からの研究が期待される.
|
今後の研究の推進方策 |
3次元閉多様体上の回転可能葉層構造からさらに対象を拡げて Thurston の不等式の成立を研究するという方向のみではなく,典型的葉層構造や3次元開多様体からユークリッド平面への沈め込みの逆像達に横断的な葉層構造に対しても研究を拡げていく事を考える.また,Thurston の不等式の精密化とも言える小川竜の結果を下に,対象となる葉層構造について,さらに精密な位相的特徴を捉えるという方向が期待できる.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究集会,国際会議への参加や,共同研究者その他の数学者達との研究打ち合わせの為に旅費として使用する.また,国内外の数学者達を招いて,可能なら共同研究を開始するための研究打ち合わせ等の為に使用する事をも計画中である.また,適宜,必要な書籍等の資料を整備すべく研究費を使用して行きたい.
|