研究課題/領域番号 |
23540110
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
江田 勝哉 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90015826)
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キーワード | one dimension / Peano continua / singular homology / inverse limit / free groups / grope groups |
研究概要 |
研究目的の項目のうち、今年度進展したもののみについて説明する。 (1) 1 次元Peano空間の基本群はホモトピー型を決定するため、その基本群は極めて沢山あることになる。ここには非可換スペッカー現象が大きな役割をした。ところが、このアーベル化である特異ホモロジー群は、有限生成アーベル群とHawaiian earring の特異ホモロジー群しかないことを証明した [5]。この証明ではスペッカー現象のカウンターパートである algebraical compactness が大きな役割をした。この証明のやり方から、H. Fischer により提案されていた non-commutative cotorsionfree という概念について、アーベル群の場合は、cotorsionfreeness に正しく一致することを示した [6]。有限生成の自由群の逆極限は、1 次元 compact metric space の Cechhomotopy 群である。この群の classification に成功した。とくに非同型性を示すところでは、非可換スペッカー現象が大きな役割をした。 (2) 昨年度報告した [3] の論文の改訂をするうち、2 次元ペアノ空間であるHawaiian toriwedge H_T について以下の結果を得ていると報告したが、証明に不備があり、それを直した結果、出版予定となった [3]。 a. π_1(H_T) は可算個の ランク 2 自由アーベル群の free σ-product である。b. π_2(H_T) は自明群である。c. H_2(H_T) は可算生成の自由アーベル群である。 (5) Grope 群に関する論文 [4] は群論的部分は完成されていたが、幾何学的考察の部分が全く欠如していた。これを補うことにより、[4] は出版されることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)に関して、n-slender 群の特徴つけに関しては、すこしの進展に留まっているが、n-cotorsiofree という新たな概念の導入もあり、とくにアーベル群に関しては大きな進展があった。 (2)に関しては順調にすすんでおり、新しい問題も生まれている。 (3)は結果は得られているが、まとめることが本年度できなかった。 (5)は7年かかって、論文発表につながり、Grope group の研究の出発ができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(1)非可換スペッカー現象に関しては、H. Fischer により導入されているnoncommutative cotorsionfree 群と noncommutative slender 群の関係が研究対象となる。群論的性質のみでなく、空間的な性質も絡みあっておりFischer と共同研究する。 研究目的(2)については、昨年度に引き続き Hawaiian tori-wedge の 3次元特異ホモロジー群を研究する。これは A. Zastrow(Gzansk) との共同研究予定である。 研究目的(3)に関しては、多様体に Hawaiian earring のコピーを稠密につけてできる空間の基本群から多様体ができるという結果を得ているがこのプレプリントを昨年度中に完成させる予定であったが、これは遅れており今年度に書き始める予定である。 研究目的(5)の Grope 群に関しては、Residualproperty を研究対象とする。これについては M. Cenceli, A. Vaptetic との共同研究である。 研究目的(6)は連結全順序集合が関係するため、集合論が不可欠で、集合論研究者(石宇哲也)との共同研究をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年4月から本研究者は Sabbatical year に入る。 5月1日から3ヶ月は、別研究費により Utah 州 Brigham Young 大学に滞在し、本研究の内容についても研究を続ける。この際、本研究における重要な共同研究者である H. Fischer の Ball State 大学を訪問する。これらは研究実績に述べた結果の延長上にあり、2014年度の研究費使用計画に関係する。 2013年9月1日から9月10日までウィーン工科大学において、G. Dorfer, W. Herfort, W. Hojka らと Wild space の Geometric な側面と群論的側面について共同研究をする。 2013年11月20日から11月30日までリュブリャナ大学においてD. Repovs, M. Cenceli, A. Vaptetic, Z. Virk らと Wild space の Algebraic Topology および Grope group について共同研究をする。ただし、他研究費により9月11日から10月15日まではウィーン工科大学、10月16日から11月19日まではリュブリャナ大学に滞在する。
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