研究課題/領域番号 |
23540114
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
森本 徹 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (80025460)
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キーワード | 巾零幾何 / 巾零解析 / リー環の表現と微分方程式 / 線形偏微分方程式 / Klein-Cartanプログラム / 旗多様体 / 外在幾何 / サブリーマン幾何 |
研究概要 |
これまで巾零幾何と巾零解析を展開してきたが,これを基に今年度は,線形偏微分方程式系に対するKlein-Cartanプログラムを中心に研究を進めた.このプログラムは,まず偏微分方程式系の「元素」となるべきもの(我々の言葉では,Kleinモデル)は何かを明らかにし,それら元素たちを分類しその特性を調べること.続いて,一つの元素の近隣にはその変型(Cartan変型)が沢山住んでいるが,その変型の族がどのようになっているかを調べること,そして微分方程式系の元素への分解と元素からの合成について,そのメカニズムを明らかにすること,そしてこれらの知見を微分方程式に関わる様々な問題に応用することである. 一方,線形偏微分方程式系は旗多様体の部分多様体と深くつながっており,線形偏微分方程式系に対するKlein-Cartanプログラムは旗多様体での外在幾何に対するKlein-Cartanプログラムに逐一対応し,外在幾何に関わるこれまでの様々な数多くの研究に統一的な視点を与えるものであり,幾何学的にも極めて重要な意味を持つ. 研究代表者はB. Doubrov, 待田芳徳との共同研究を通じてKlein-Cartan プログラムの主要な骨格のいくつかを構築してきた.この大きなプログラムの完遂は容易ではないが,今年度は,特に,1) 低次元の単純リー環からなるKleinモデルのCartan変型のモデユライについて詳しく調べた.2) 外在幾何の構造方程式を考察し,ガウスの大定理の一般化の方向を示し,さらに均質な部分多様体の分類問題を考察した.3) 巾零幾何の方法を応用してサブリーマン幾何のいろいろな問題を考察した. フランス,ノルウエー,チェコ,韓国での講演,講義,討論等を通じ巾零幾何・巾零解析の考えを広め,諸外国の研究者,特に若い研究者にこれからの課題や問題を提供した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目指しているところは,他の研究に例がなく,広い範囲にわたる.そのため様々な試みや考察に追われ,それらを収束させ論文として纏め上げる作業が,当初予定していたよりやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を一層進める. 6月にはBanach Center(ワルシャワ), 12月にはPoincare Institut(パリ) での研究会に招待されている.この機会を生かしてこれまでの成果を発表し論文に纏め上げたい. またノルウエーのBergen大学の研究者たちと最近開始したサブリーマン幾何についての共同研究も積極的に進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
文房具の購入についてその一部を次年度に回した. 文房具の購入に充てる.
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