平成23年度は,基点付位相空間の圏においてもBBT理論が写像空間のホモトピー論に応用できることが示された.基点付きの指数写像を用いることにより,基点に対する条件を付けずに関数空間のペアリングの理論が構築できた.空間の新しいクラスを定義することによりそれらのクラスに属する群の作用が連続であることが得られた.BBT積を用いて定義される位相空間のクラスの研究により,代数的位相幾何学を研究するための圏として,従来k-空間の圏として知られていた位相空間の圏よりも広い位相空間の圏を定義することができた.平成24年度は,対写像のホモトピー類を定義し,その応用例を得た.ゴットリーブ群を保つ写像のホモトピー集合のモノイドとしての性質や群となる場合の条件が得られた.ルターの写像の性質を詳しく調べることにより箱積の非決定因子が弱い条件の下で通常のホモトピー集合で記述できることが示され,定式化された.平成25年度は,コゴットリーブ群を保つ写像に関しても写像の類を定義し様々なホモトピー不変性を調べ,対写像のホモトピー類を応用して,モノイドとしての性質や群となる条件が得られた.ダイダックの積等とBBT積との関係の解明に成功した.平成26年度は,コゴットリーブ群を保つ連続写像についての諸定理を余直交関係を保つ連続写像に拡張した.位相空間の一般化として作用子をもつ集合の内部と閉包を定義し,様々な公式と例を得た.特に,2種類の内部と閉包を定義する必要があることが示された.作用子をもつ集合における極大対象と極小対象を公理論的な見地から定式化し,位相空間において研究されていた極大開集合,極小開集合の理論の一般化が得られた.
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