研究概要 |
組合せ的デザインにおいて,ブロックがさらに小ブロックに分割され,様々な組合せ的条件を持つデザインがたくさんある.組合せ 条件は各応用分野の必要に応じて生まれ,構成法の研究も独立に行われていた.今までは,異なる分野で,異なる名前で呼ばれており ,解析や構成法も独立に研究されてきた.当然重複した研究もかなりある.これらのデザインを多重構造デザインと呼ぶこととし,そ れらを統一的に定義し,統一的な性質やバウンド,そして一般的な構成法に関して研究した. 23年度に続き,小さないくつかのデザインからより大きなデザインを構成する,再帰的構成法の研究に関して,23年度のアイデアに基づき,続けて研究を行った. 一つは1950年代から一般のブロックデザインの構成によく用いられていた,braking up法が多重構造デザインの構成にも適応で きることを証明した。これにより,構成が難しいと思われていた一部の多重構造デザインにも適応可能で,多くの新しいものが構成可 能となった。 つぎに巡回的な多重構造デザインの再帰的構成法を試みた。Kuriki-Jimbo(1983)の巡回的デザインの構成法が多重構造デザインの組 合せ条件を保存することを証明した。この方法はブロックサイズを固定し,より多くの点とブロック数の多重構造デザインを作ること が可能である。 しかし,対称性(ブロックの数と点の数が同一)は保存しない.対称性を持つ巡回的多重構造デザインは多くの符号 への応用を持つため,更に研究を続ける.また中国からCuilin Fan を招聘し,これらの課題を議論した.
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今後の研究の推進方策 |
藤原は続けて,有限アフィン幾何および射影幾何による統一的構成法の研究を行う.これらの有限幾何は古典的な組合せ的デザインの構成 にも広く使われており,有用な性質を数多く持っている.互いに接続しない,直線や平面(一般にt-flat)の集合を作ることによって ,多重構造デザインのいくつかの条件を満たすようにすることが可能である. 繆はCyclotomyを使った統一的構成法の研究を行う.繆は光直交符号や周波数ホッピング系列の研究を行ってきた.これらの符号や系 列は巡回型の多重構造デザインと同値の問題である.巡回型の多重構造デザインの構成にはCyclotomyがよく用いられる.何度もデザ インの構成にそれを使っている.過去の経験を生かし,Cyclotomy が多重構造デザインのいずれの条件を満たすかを探求する.
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